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特集2 司法制度改革3
100年の歴史で画期的な意識変革

--昨年12月、規制改革委員会が「規制緩和についての第2次見解」、司法制度改革審議会が論点整理を発表しています。松永先生はこれまで司法書士の職域問題、とくに弁護士との業際問題の解決をめざし活動をされてきたわけですが、現在の司法制度改革に向けた政府の動きをどのように評価されていますか?
「これまで日本の司法は法曹三者によって独占されてきたが、その独占は決して国民のためにはならなかったのではないか、そのことが広く認識されるようになってきたのではないでしょうか。その流れ
の中、司法書士であるとか税理士、弁理士といった法律専門家を司法の枠組みに取り入れようということになった、そう捉えています。これはまさに画期的な司法改革であると思います。
 司法書士は100年の歴史を有するわけですが、その歴史の中で、司法制度全体における司法書士制度の位置づけは、まさに行政の補助機関でした。
 私はこれまで長い間、司法書士を司法制度の枠組みの中に入れて、法律家としての位置づけをしてほしいと主張してきたわけです。司法書士は書類の作成という形式をもって、司法に大きく貢献し


てきた自負があります。とくに弁護士の過疎地域において大きな貢献していることは明らかな事実です。また相応の法的訓練も重ねてきているのですから、もっと司法書士を活用していただきたいとの主張を展開してきたのです。
 しかし、それは簡単な道程ではありませんでした。これまで司法書士法は何回か改正され、昭和53年には大きな改正がありましたが、そのときも、最終的には弁護士法72条が大きな壁となり、司法書士の法律判断、法律相談に関しては前進を見ませんでした。第72条が司法書士の発展を阻んできたことは否めない
事実です。
 現在、進展している規制改革委員会や司法制度改革審議会における議論はようやくこれまでの議論の次元を越えて改革が動き始めたということで、大いに期待するところです」


--業際問題については、日本司法書士会連合会(以下、日司連)と日本弁護士連合会(以下、日弁連)の間で、司法書士の業務に関する協議が行われてきたと伺っていますが、その経過はどのようなものでしょう?
「昭和62年に日弁連から日司連にあてて、『弁護士と司法書士の業務範囲について』との文書が送られてきました。司法書士の業務に逸脱行為が見られるとの内容でした。そこから、両者の間で、司法書士の業務に関するガイドラインを策定するための協議が始まったのです。私はその協議に12年間参加してきました
が、今ようやく裁判事務における司法書士の書類作成の概念がまとまってきました。司法書士の職務は書類作成が中心ですが、これまでどういう書類を作成するかという解釈がきちんとされず、曖昧模糊としていたのです。そもそも司法書士法第2条第1項第2号の書類作成の規定は『裁判所、検察庁又は地方法務局に提出する書類を作成すること』と、これだけの内容です。日弁連との協議の中で、書類作成の概念は何かということを構築してきました。そして、弁護士が行う手続きも、司法書士が行う手続きも、同じ民事訴訟法を適用している以上、書類


作成に限っていえばそれは同質であると主張して、ほぼそれに近い理解で、一応の合意に達しています。それによれば、司法書士の書類作成とは単なる代書ではなく、弁護士と同質ないしそれに近いものとされます。この解釈によって業務は司法書士の書類作成の業務は合理的に解釈されるようになり、以前よりも遥かに高度で良質なものを提供できるようになります」「昭和62年に日弁連から日司連にあてて、『弁護士と司法書士の業務範囲について』との文書が送られてきました。司法書士の業務に逸脱行為が 見られるとの内容でした。そこから、両者の間で、司法書士の業務に関するガイドラインを策定するための協議が始まったのです。私はその協議に12年間参加してきましたが、今ようやく裁判事務における司法書士の書類作成の概念がまとまってきました。司法書士の職務は書類作成が中心ですが、これまでどういう書類を作成するかという解釈がきちんとされず、曖昧模糊としていたのです。そもそも司法書士法第2条第1項第2号の書類作成の規定は『裁判所、検察庁又は地方法務局に提出する書類を作成す


ること』と、これだけの内容です。日弁連との協議の中で、書類作成の概念は何かということを構築してきました。そして、弁護士が行う手続きも、司法書士が行う手続きも、同じ民事訴訟法を適用している以上、書類作成に限っていえばそれは同質であると主張して、ほぼそれに近い理解で、一応の合意に達しています。それによれば、司法書士の書類作成とは単なる代書ではなく、弁護士と同質ないしそれに近いものとされます。この解釈によって業務は司法書士の書類作成の業務は合理的に解釈されるようになり、以前よりも遥かに高度で良質なものを提供できるようになります」

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