↑What's New ←目次 ←討論表紙
0 1 2 3 4 5 6 7 2000.vol.1

企業法務
アウトソーシング

今後、日本の企業法務はどのような形に進んでいくと思われますか?
    高石
    現時点では、企業の予防法務体制を確立するため、社内の法務部を充実させることが先決です。欧米ではそのような動きが以前からありましたが、逆に今は、ある程度、法務部を縮小して、仕事を社外の法律事務所にアウトソーシングしていく傾向が出てきています。日本も将来、法務部がある程度のサイズに到達した後、同じような経路を辿っていくのではないかと思われます。
実際に高石先生の事務所(高石・高井法律事務所)は企業の法務部門のアウトソーシングを引き受けられていますね。
    高石
    現在、3社から法務部のアウトソーシングを受けています。いずれも外資系の会社です。そられの会社には法務部がありません。その会社の各社員は法的な判断が必要なことが生じると直接、私たちの事務所に連絡してきます。私たちはそれを処理していくわけです。そして、経営者の耳に入れておいたほうがいいと判断されることがあれば私のほうから直接、社長に電話を入れるようにしています。実質上、企業内部の法務部と同じ役割を担っているわけです。
外部の法律事務所に法務部門をアウトソーシングしていく場合、企業として留意すべき点はどのようなことでしょう?
    高石
    当然ながら、その法律事務所が企業の法務部の役割を果たせるか見極めることです。一般的に法律事務所が扱うのは訴訟などであり、企業側にしても、外部の弁護士に相談に行くときには、純理論的な法律サービスを求めることが多いですから、法律事務所というのは私が先程、申し上げたような、崖っぷちの理論には慣れていません。法務部長というのは厳格な法解釈を見極めた上で、それに加えて、どこまで緩めて大丈夫かという判断を下す必要があるのですが、ほとんどの法律事務所はそのような訓練をしていません。まずそれができる法律事務所かどうかを見極めることです。
     もう一点、リーガル・フィーのことがあります。アウトソーシング先といっても、どんどん仕事をこなして、請求金額を多くすることだけ考えていたら、発注する企業側は困ってしまいます。法務部長的なコスト感覚をもち、リーガル・フィーをコントロールしながらの運営ができる法律事務所を選ぶことです。理想的には、社内にアウトソーシング先の法律事務所の活動を監視して、コントロールできる人を置くべきでしょう。

→Next

↑What's New ←目次 ←討論表紙
0 1 2 3 4 5 6 7 2000.vol.1
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.