今後、成年後見法で改善していくべき点としては、どのようなことがあるでしょうか?
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池田
「公的後見、基盤整備の2点があげられると思います。
制度面で言えば、後見人にかかるコストは利用者本人の負担となっているため、利用しにくい。申し上げたように公的後見人、国家後見という考え方を入れて、自分で費用や報酬を払えない人も、後見制度を使えるようにすることが求められます。
もう一つは制度の受け皿の整備について考えていかなければならないと思います。家庭裁判所で制度にかかわる調査員などの人的準備も急がなければならないでしょう。家裁にはコンピュータ化なども含めた物質的な整備も含めて、早急に本腰を入れた対応をしていただきたいと思います。そもそも成年後見のための国家予算が十分とは言えません。基盤整備にはもっとコストをかけてほしいというのが正直な感想です。
来るべき超高齢社会においては、司法が担わなければならない責任は非常に大きなものになると思います。西欧型の市民社会を目指すとなれば、契約文化という側面を避けられません。そうなれば、司法が担う部分が増えるはずです。これまでの一般的な日本人というのは、『できれば一生、裁判所にはかかわりたくないものだ』という考え方があったと思いますが、それが、司法を利用して紛争を解決することが当たり前の、欧米型の社会に近づいていくと思います。成年後見についても、制度そのものを作るだけではなく、それを運用するための基盤の整備をしっかりと進めていただきたいと思います」
社会福祉士会としては、どのような計画をおもちですか?
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池田
「現在、“ぱあとなあ”という後見センターの設立を計画しています。これからつめていかなければならないことは、どこまでをその対象とするかです。援助対象、援助方法、その他の状況を見ながら、できるだけ速やかに立ち上げたいと考えています」
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