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アジア法整備支援

100年先を考える


 ベトナム、カンボジア、ラオスなどについても、日本が本格的な法整備支援を開始する以前に、欧米諸国、国際機関などがそれにあたっていた。
「法整備支援について言えば、日本は後発部隊です。歩みは遅くなるとしても、徐々に相手国の信用を得ながら、着実に支援を実施していきたいと考えています。『1年や2年で成果を上げるというようなことは到底不可能であり、相手のためにもならない。目先の成果を追い求めるのではなく、オーバーかもしれないが、100年先に成果を生み出すくらいのことを考えてやりなさい』というのが、三ケ月章元法務大臣のお言葉です」
 支援を進める際、相手国の社会構造を無視して、立法しても、その法律は根づかない可能性があるという。
「支援をする際、注意すべきなのは、相手国の実情も考えず、歴史的な背景、文化的な違いも踏まえず、法律をつくってあげるというのはいけないことだと思います。そのような法律では、たとえ施行しても、実際に運営したら、機能しないという状況になりかねません」
 では、日本がリーダーシップをとってEUやNAFTAのような経済の地域統合を進めるためのアジアに共通する法を制定するようなことは可能だろうか。


「アジアにおける法律の統一があるとすれば、それはそういった必要性が生ずる環境が醸成された後にくるものでしょう。今後、アジア諸国がさらなる発展を遂げ、経済的な統合が進む。一層の経済の活性化のためには共通のルールが必要であるという機運が盛り上がったところで、はじめて成立する可能性が出てくる性質のものではないでしょうか。社会的背景はもちろんのこと、経済力も異なる国で、いきなり法律の枠組みだけをつくっても、機能しないということなりかねないと思われます。 むしろ、ニーズがないところに、日本がリーダーシップを取り、統一した東アジア法をつくろうとしても、アジア諸国から、覇権を狙っているのではないかと反発される可能性さえあります。国益のため、自国が有利になるような形で、アジア諸国に法律を植えつけようとしていると見られれば、それがうまくいくとは思えません。相手をこう変えようなどと性急に考えず、ゆっくりと時間をかけて、相手国の実情を真摯に考えながら、支援していくことが大切だと思います」

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