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全般を見渡せるゼネラリストを育てる

--高度な知識や能力をもつスペシャリストの他に、組織を維持するためには総合力をもった人材も必要ではないでしょうか?
「もちろん、スペシャリストだけではなく、それを調整する人も不可欠です。その機能が働いていないと、役所の部署の間で横の連絡がなくなってしまいます。役所というのは縦組織による弊害がかなりあるわけです。横につなげることは大切で、そのためには、やはり全般を見渡せるゼネラリストを育てなければなりません。
 警察の組織ではキャリアがそういう役目を担っているわけですが、最近、連続
した不祥事については、下の人の気持ちを分かっていなかったから、ああいうことになってしまったのだと思います。ただ、区役所の場合、警察のようなキャリア、ノンキャリアという明確な区別はありません」
--スペシャリスト、ゼネラリストを見分けて、育てるためのコツはありますか?
「長所を伸ばすということに尽きるのではないでしょうか。人間とは、長所が短所になり、短所が長所になるものです。短所を長所にすることも、研修の中で重要な部分ではないかと思います。短気で喧嘩っ早い人は、活動的で行動力があっ


たりするわけです。そういう人には、こういう仕事はどうだろうかとか。それを、あの人はすぐに喧嘩をするから、あちらに飛ばそうという発想ではいけないでしょうね。
 長所・短所ということでは、昔、上司から人事異動時の引き継ぎのコツを教わったことがあります。人を引き継ぐとき、多くの人は『こういう良いところがあるが、こういう悪いところがある』と、まず良い面を言って、次に悪い面を伝えるというのです。ところが、そのように紹介されると、後の悪い部分が強調されて意識されてしまう。逆に『この人物は、こういう
悪いところがあるけれど、こういう長所がある』と紹介することによって、その人間に対する評価がガラリと変わるというわけです。これが人を引き継ぐことが要領だと教えられたことがあります」
--地方分権の時代を迎えて、職員の意識に変化は感じられますか?
「率直に言えば、その意識がどれだけあるかについては、やや疑問ですが。大きな変革の中にあっても、現実の仕事というのは、急に変わるわけではないのです。移管などで、仕事が大きく変われば、実感することもできるでしょうが、そのような仕事に従事していない職員です


と、地方の時代と言われても、なかなか実感できるものではないでしょう。私の仕事として、職員がそのようなことを身をもって体験できるような方法を考えなければならないと思います」
--具体的にそれを実現していくにはどのような方法があるでしょう?
「難しいです。しかし、それを考えるのが上司であり、私の役目であると思います。
 ひとつの方法として、まったく新しい仕事をいきなりポンと入れるということがあります。初めは驚くわけです。とくに通学区域の自由化などは、まさに青天霹靂の問題だったと思います(笑い)。教育委員会でも説明していたのですか、そのときの委員の受け止め方は、まさかそんなことは無いだろうというものでした。それが現実になったわけです。そのような改革を身をもって体験させるようなことも、私は必要だと思います」

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