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トップダウン型の政策決定

--地方分権の時代、それぞれの自治体に独自施策が求められるということですが、行政における政策の立案プロセスはどのようにあるべきだと思われますか?
「品川区の立案の方法について、議会も組合も、よく『トップダウン』という言葉を使います。トップが考えたことをポンと言って、担当の職員にそれを組み立ててもらう、そういうトップダウン型の政策立案プロセスも必要ではないでしょうか。
 私は細かいことまでは考えません。『こういうことをやりたいのだが、どうだろう』と提案すると、担当する部署では、職員
が考え、調整しながら、組み立てていくわけです。上がってきたプランに対して、私の考えと違うと、差し戻すこともあります。そのように往復させることによって、政策が作られていくのです。
 政策を下から積み上げてくるばかりですと、他の部署との関連が見えていないことが往々にしてあるわけです。積み上げきたものは、その政策だけを見れば、理論的にはよくできていても、実践にもっていく上で、細部に関する問題が含まれていることがあるわけです。
 もちろん、下から積み上げるほうが良い性格の政策もあります。要するに政策


立案プロセスというのは下から上げるだけでなく、上からも提案をして、相方が共同しながら、組み立てていくことが必要だと思います」
--石原都知事が打ち出した銀行に対する外形標準課税は代表的な事例かもしれませんが、行政においては、時にはトップダウンでことを進めることも必要であり、そのためには上に立つ人間のアイデアやリーダーシップ、決断力が求められているということでしょうか?
「時には石原知事のような発想をしてみることも必要だと思います。そういうことができるのはトップしかいないのです。ひ
とつには役所の中で、もっとも外に出歩くのは長です。私自身、年中、色々な会合に出席したり、さまざまな方にお話をうかがう機会があります。いわば、区民の声をもっとも身近に感じることができる位置にいるわけです。そういう立場にある人間であれば、区民のニーズを的確につかんで、部下に対して問題を投げ掛けられなければなりません。それがあれば、部下は動くわけです。ガソリンを入れなければ、エンジンが回らないということです」
--それを意識的に行っていかなければ、行政というのは、下から上げられた内容


を長が決済するだけの組織になりかねないということでしょうか?
「ややもすると自治体というのは、下からあがってきたことを自治体の長が『よきにはからえ』というような組織になりがちなのです。
 そのような状況になってしまうと、住民と離れた行政独自のものの考え方が確立されてしまいます。それをチェックするのが議会の役割ですが、長が果たすべき役割も重要です。議会の決定と住民の意思の関係について、うまく調整することができるのは、やはり住民の直接選挙によって選ばれた区長や市長しかいないのではないかと思います」

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