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スペシャリストが要求される時代

--地方分権が進む時代、自治体の職員に求められる資質はどのようなものとお考えですか?
「これまで自治体の職員に要求されたのは、どちらかというとゼネラリスト的な資質をもつことでした。いわばデパート的な職員が要求されていた傾向がありますが、これからは専門店的なスペシャリストが要求される時代になっていくと思います。
 確かに、昔は自治体の規模も今よりも小さかったこともあって、役所の職員に、住民のすべての要求に応えるだけの総合的な能力が必須とされた時代がありま
すが、だんだん自治体の権能が大きくなってきますと、すべての要求に応えるといったオールマイティの職員を育てることは非常に難しくなります。
 逆にゼネラリストを育てるために職場を短期間で異動させるようなことをしていると、ことなかれ主義で仕事を済ませるような職員の体質を作ってしまう恐れがあると思います。よく人事の規定で、「3年とか5年経つと異動する」と定めた要綱がありまが、そのように短期間で異動することがあらかじめ決まっていたら、現在の仕事に対して、どれだけ責任感をもって打ち込んでもらえるでしょうか」


--行政サービスが高度化、複雑化していることも、専門的な能力をもつ職員の必要性の理由でしょうか?
「そう思います。例えば、『高齢者福祉の問題は私に任せろ、すべてやってみせる』と、そのような人材が求められる時代です。そうでなければ、行政におけるひとつずつの分野が高まっていきません。高齢者の問題、保育行政の問題、それぞれの分野で競い合い、そして協力し合
う。地方自治体には要求されるのはそのような体制ではないでしょうか。
 その分野のことはすべて知っているというのは仕事をする上で大変な強みになります。私は品川区に53年間もいますから、品川区のことなら、どこをつつくと、どういう音が出るかくらいまで分かります(笑い)。だからこそ仕事に面白味もあるわけです」

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