精神保健福祉士とは、「精神科ソーシャルワーカー(PSW)」と呼ばれる専門職に就くために必要な厚生労働省管轄の国家資格です。
1950年代より精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入された歴史のある専門職であり、社会福祉学を学問的基盤として、精神障害者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会参加に向けての支援活動を通して、その人らしいライフスタイルの獲得を目標としています。
さらに、高ストレス社会といわれる現代にあっては、広く国民の精神保健保持に資するために、医療、保健、そして福祉にまたがる領域で活躍する精神保健福祉士の役割はますます重要になってきています。
精神保健福祉士の仕事とは?
「精神保健福祉士」の主な仕事は、精神的な障害を抱えている方の入院中の相談や退院後の日常生活を送るために必要な援助、社会復帰に向けた支援などです。
保健や福祉などの専門知識と技能をもちいて、相談対応や助言、支援を行うという点では『社会福祉士』の業務と違いはありません。しかし、支援の対象が精神面に問題を抱えている方に限られることで、業務を行う上で、障害に対する専門的な知識と深い理解が求められます。また、コミュニケーション能力はもちろんのこと、障害者支援は長い時間と労力がかかる仕事のため、根気強さやタフな精神力も必要なスキルとなります。
福祉関係に携わる仕事の中で、介護をはじめとした支援を行える資格には様々なものがあります。それぞれ立場や持ち場は異なりますが、各々の得意分野を活かしながら福祉支援を必要とする人を支え、できるだけ自立した暮らしができるようにサポートしていくことを使命としています。その中で、精神保健福祉士とは精神障害者に特化して支援を行うことができる資格なのです。
患者さんやその家族が抱える課題を明確にし、どう改善すれば社会生活が送れるのか考え、患者さん一人ひとりのライフスタイルを尊重しながら生活できることを目標として支援していきます。
精神保健福祉士の活躍の場
長期に及ぶ経済不況などの外的要因によって、近年、ストレスの重責の中でうつ病や認知症の精神疾患が急増しています。そのため、精神保健上の幅広い分野で『精神保健福祉士』の役割が求められるようになっています。
医療関係
- 精神科病院、訪問介護ステーションなど
- 主に医療機関の受診、入・退院等の調整や精神障害者の生活支援を行います。
障害者福祉施設
- 自立訓練施設、就労移行支援施設、地域活動支援センターなど
- 対面や訪問、電話による相談・支援業務が中心。入所型の施設では、日常の家事などの動作訓練を行うこともあります。
行政機関
- 自治体の障害福祉課や保健所、精神保健福祉センターなど
- 法律に関わる手続き業務のほか、精神障害者の生活支援を目的とした啓発活動の企画・運営、各種支援事業の実施などの役割を担います。
司法機関
- 保護観察所や刑務所、更生保護施設など
- 「社会復帰調整官」として対象者の生活環境の調査から見守り・指導、地域における支援計画の作成など、一貫して社会復帰に向けた支援を行います。
教育機関
- スクールソーシャルワーカー
- 学校でのいじめや児童虐待などによる、子どもや家族、教員の心のケアを行います。
企業
- 産業ソーシャルワーカー
- 企業内で個人が悩みとして抱える問題に対し、解決のためにさまざまなアドバイスを行います。