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Top Interview
会計士との関係をどうするか


外国の法律事務所と日本の弁護士との関係はかなり自由化されつつありますが、今後、国際的な取決めはどのような方向に向かうのでしょうか?
    鳥海
    日弁連では単位会にWTO小委員会を設置しています。私はそのメンバーですが、去年10月にパリ・フォーラムを開催しました。日弁連とアメリカの弁護士会、ヨーロッパの弁護士会の三会共同主催です。WTOでは会計士の自由化のルールをモデルとして他のサービス産業の自由化を考える方針を打ち出しています。ルールがどうあるべきかについて弁護士から声を出していこうというのがパリ・フォーラムの目的です。また今年も、実施される予定になっています。その下調べのため、今年初めには諸外国に会計事務所との共同経営をどのように扱っていくかということについて調査団を出す予定です。

海外を見ますと、法律事務所以上に会計事務所が巨大化しています。法律事務所と会計事務所との関係はどうなっていくのでしょうか?
    鳥海
    それは非常に大きな問題です。一昨年、インドでIBLの臨時総会がありましたが、その場にもっとも多くの弁護士を派遣したのは法律事務所ではなく、会計事務所のプライス・ウォーター・ハウスでした。何か政治的な意味があるのかもしれませんが(笑い)。また昨年11月、会計事務所のビッグ5のひとつ、キング&スポルディングスがジョージア州アトランタで最大の法律事務所との話し合いに入り、スペインではアーサー・アンダーセンがスペイン最大のジー&ガルベスと組み、アンダーセン&ガルベスという事務所を作りました。

弁護士と会計士が組むことによる問題はないのでしょうか?
    鳥海
    会計事務所と法律事務所が組めば、確かに総合サービスとしては、ニーズに応えられるようになるでしょう。ただ、会計士と弁護士は職業倫理に関して違う面があります。それをどう解決していくかが課題です。弁護士からすれば、職業倫理が会計士主導の共同経営で変わってしまうのでは国民の利益にならないということです。
     この問題は弁護士会でも争点のひとつで、業務対策委員会では総合法律経済事務所をよしとしていますが、国際委員会では問題があると業対に対して申し入れています。またこの問題は国際的法律事務の自由化とも関係してきます。すなわち、会計事務所との共同事業はいいのに、なぜ外国の法律事務所とはいけないのか? ということになるわけです。−− 21世紀に向けて、弁護士の世界が大きく変わろうとしています。これからの日本の
21世紀に向けて、弁護士の世界が大きく変わろうとしています。これからの日本の弁護士に求められるのはどのようなことでしょうか?
    鳥海
    早晩、法律業務は完全にグローバルな時代に入ります。外国人弁護士の活動はさらに自由化するでしょう。資格の相互承認は世界の趨勢でもあり、日本国内で職域を守ろうという動きがあっても、止められるものではありません。また止めることが国民の利益につながるとも思われません。日本の弁護士は自らを変えていく必要があります。スピードのある司法に対応する、企業のニーズに応えられる専門性・国際性を備える、ワンストップ・ショッピングを実現する。市民や企業のニーズに合わせた手法に改革し、グローバル・スタンダードに合わせて改革する。そのような対応が求められます。競争の世界にさらされ、技術を磨き、事務所を強化して、国民のニーズに応え、国際的に負けない事務所を作っていく。それが求められていると思います。
用語
*注 「外国法事務弁護士」  かつて日本国内で弁護士活動を行うには日本の弁護士資格を有することが必要とされていたが、昭和61年の、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法により、外国法の弁護士資格を持つ者は、法務大臣の許可を受けることによって、新たな試験・選考を経ることなく、外国法事務弁護士として外国法に関する法律事務を取り扱うことができるようになった。



鳥海哲郎氏
鳥海 哲郎 (とりうみ・てつろう)

1950年東京都生まれ。1974年早稲田大学法学部卒。1979年弁護士登録、第二東京弁護士会所属。1983年ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ) ロー・スクール修士、1988年弁理士登録。
著作に「Canada-Japan Business Transactions」(共著)


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