他の士業とパートナーシップを組んだ総合事務所のサービスについてお聞きします |
鳥海
私たちの事務所には弁理士と司法書士が所属しています。これまでも弁護士が税理士や弁理士と組むことはありましたが、その位置づけは不明確なものでした。共同経営が認められることが昨年5月にはっきりしました。法務省、通産省、大蔵省など、それぞれの業法を所管する官庁がいっせいに発表しましたわけです。そこで、報酬の分配はいけないが、経費の共同負担はいいとの見解が示されました。それまでは解釈がはっきりしていなかったため、実際には他の士業との協同の事務所であっても、表向きは「雇用」として、共同経営ではないとしていました。それが、経費の共同はいいとの判断が示され、法律違反の不安はなくなりました。
ひとつの事務所にさまざまな専門家がそろっていることは、ユーザーからすれば、あちこちに行く面倒がなくなることですが、事務所運営上のメリットはどのようなものでしょう? |
鳥海
われわれもまったく同じです。あっちに行って聞き、こっちに行って聞くという必要がなくなる(笑い)。依頼者が事務所に見えたとき、専門知識を要するときは、「税理士を呼びましょう」と、その場で解決できる。また仕事ごとにいちいちチームを組み、報酬の分配をどうするか話し合って、それが決まってからスタートしなくてもいいわけです。
他の士業との関係ですと、弁理士に訴訟活動を認めるべきとの意見があります。これについてはどうお考えですか? |
鳥海
それができるようにはすべきだとは思いますが、現実に弁理士が訴訟活動を貫徹できるかというと、難しいでしょう。3〜4件裁判を経験すれば、特許弁理士として法廷で活躍できるかというと、裁判はそれほど簡単ではありません。税金や登記など法律事務の処理もかかわってきます。そういう知識なしに取り組んでも、ただ時間やはコストをくってしまいます。それより、経験を積んだ、訴訟に強い弁護士と組むほうがいいでしょう。また弁護士にしても何もかもでもできるわけではない。とくに特許訴訟は侵害された特許権は何か、侵害の行為はどのようなものだったかを特定しなければならないのですが、それが難しいわけで、弁護士にしても弁理士と組んだほうがいいのです。
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