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Top Interview
司法制度改革の目的


昨年12月、司法制度改革審議会が検討項目を発表しました。鳥海先生は司法制度改革において、どのような観点が重要だとお考えになっていますか?
    鳥海
     端的にいえば、司法制度改革の目的は、司法を国民に近いものにすること、ニーズに合うものにすること、使いやすい形にすることにあると思います。
     具体的な検討項目もその大きな目標のもとに位置づけられるべきことでしょう。
     法律扶助にしても、費用の問題から司法の保護を受けられない方を扶助するということですから、それに当てはまります。参審議制や陪審制の導入も裁判を国民に近づけるということに他なりません。裁判の審議期間を短くすること、特許訴訟で技術や特許訴訟を理解した人が裁判を運営できるようにすること、そのための裁判官の養成は、ニーズに合った司法を作るということです。広告規制の撤廃にしても、その法律事務所の経験や得意分野を情報発信することで、ミスマッチを解消し、必要に応じた弁護士にアクセスできるようにすることと考えられます。そもそも、司法試験の合格者の増やして、弁護士や裁判官、検察官の増員することも同じことです。
今後、法曹人口が拡大の結果、かなりの数が企業の法務に入るようになることも予想されますが、弁護士法30条には、弁護士が企業に入るときには、弁護士会の許可を要するという規定があります。これについて、どのようにお考えですか?
    鳥海
    弁護士として相応しい会社に入るよう、不祥事を未然に防ぐためということですが、果たしてそれは弁護士会がやらなければならない作業かを再考する必要はあるでしょう。今や社会全体の考え方は、個人の良識に任せ、企業を信用するという法人責任の概念で律するべきだということに移りつつあるのではないでしょうか。海外をみれば、弁護士の活動はもっと幅広いわけです。コンサルタント会社を作ったり、大企業の幹部になったり、政府機関でも、多くの弁護士が活動しています。日本の弁護士だけは相変わらず法廷活動が中心で、しかも企業法務に関わるとき、いちいちその許可を得るというのは、あまりにも柔軟性に欠けているといわざるをえません。大切なのは、むしろ法の支配を隅々まで及ぼすということであろうと思います。企業の中にも企業の行動ルールの中にも関与していく。弁護士が企業の中にも入っていく。それをもっとプロモートしていっても良いのではないかと思います。
司法制度改革審議会の議論の方法、方向性についてどのようにお考えですか?
    鳥海
    司法は国民全体にかかわる問題ですから、幅広く意見を集めて、議論は尽くさなければなりません。そういう意味で、経済界からは、かなり声が出てきていると思います。一般市民の声を反映させるという部分はやや弱いのではないかという印象は受けます。
     審議期間については2年という期間では短すぎるという批判はあたらないと思います。改革をどんどんやっていくべきであって、テーマによってはもっと早くてもいいとさえ思います。
     またより重要なことは、改革によって制度を変えることで歪みが出てくるはずで、それをどうバックアップしていくか。その手当てをしっかり考えることだと思います。

 
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