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Top Interview
渉外法務のための能力


次に渉外法務についてお聞きします。渉外法律事務所が日常的に扱っている法律案件はどのようなものがありますか?
    鳥海
    渉外法務といっても個人の法律問題と企業の法律問題のふたつがあります。私たちはその両方を手掛けています。個人のほうは国際結婚や離婚だとか、相続が多く、それに不動産投資とか個人企業としての海外活動、あるいは外国の個人が日本でビジネスをするにあたっての活動について、日本法の見地からアドバイスするわけです。
     主な部分はやはり企業活動に関する業務です。日本企業の活動もあらゆる意味において国際的になっていますから、扱う分野は非常に広がっており、法律相談から契約交渉、契約書の作成、法律的な問題についての意見書の作成があります。またそもそもの法律スキームの立案があります。またトラブルが発生すれば、国際訴訟にまで関与しています。最近では、その裁判をアメリカで行うのか、日本か、ヨーロッパかというような検討がされるようになって、国際的な訴訟も増えてきています。
     また国際投資における資金調達のアドバイスであるとか、企業合併や企業買収、技術提携の仕事もあります。それから倒産法や独占禁止法。グローバルな活動をしていた企業が倒産すると、影響は国内に止まらず、海外の子会社の倒産問題につながります。独占禁止法にしても、アメリカで問題になれば、アメリカ一国だけでなく、日本でも問題が出てくる。そういう法律相談であるとか、あるいは手続きに関与することが業務となります。

扱う法律としては、どのようなものが多いのでしょうか?扱う法律としては、どのようなものが多いのでしょうか?
    鳥海
    商法(会社法)、金融関係法、証券取引法、独占禁止法等の経済法、工業所有権法、著作権法等知的財産権関連法、税法、破産法といったところですね。
 国際的な渉外法務の仕事をするにあたって必要とされる能力は?
    鳥海
    基本的には、日本の弁護士として、日本法に詳しく、日本企業にも通じている必要があります。また日本法だけにこだわってはいけないので、国際的にはこういう概念、こういう考え方も有り得るということに柔軟に対応できる人である必要があると思います。 国際的で、良いネットワークを作っておくことも、良い仕事をするための条件です。また新しいものがどんどん出てくる世界ですから、つねに新しいことにチャレンジしていく気持ちをもつこと。付随して、言葉の問題があります。英語にプラスして、中国語とかフランス語、イタリア語ができれば強いでしょう。
渉外法務で第一線で活躍できるまでには、何年くらいの経験が必要でしょう?
    鳥海
    やはり10年はかかるのではないでしょうか。事務所のレターヘッドを使って仕事をして大丈夫というレベルがパートナーですが、そうなるためには、たんに仕事ができるたけではなく、依頼者との関係も調整できる、事務所の内外でプロジェクトチームを作るときのコーディネイトまでできなければならない。ビジネスはどんどん変化しています。グローバルになり、スピード化して、要求は高くなっていますから、それに応えられるようになるまでには、ある程度の時間がかかるのは仕方ありません。国際的な企業法務をやるなら、相応の経験を積まないければ難しいのです。
     一方、市民の近くにいて、そのニーズに応える弁護士も必要です。貸金回収や離婚といった個人事件を中心にするのであれば、3年もあれば仕事をこなせるようになるでしょう。弁護士として、どちらの生き方が向いているかという、選択の問題です。


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