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21世紀の大学象とは?
先端研究を大学から離す


反町
今後、日本の大学はどのように変わっていくと思われますか?
    手塚
    これまでの大学は右肩上がりでした。18歳人口が増えて、進学率も上がる。ダブルで水膨れする。それに伴って予算も増えていく。その結果、“学内行政屋”が増えてしまった。学内で会議をして、予算のとり合いをする。その根拠地が学部であったり、研究所だったりするわけです。そのような状況が、今回の独立行政法人の成立をキッカケとなって壊れるかもしれません。従来のような取り合いをしていても、予算は増えません。さらなる発展のためには、各大学が独自のプランを提示して、それが社会的に受け入れられなければならないのです。
反町
その際、どのようなことがポイントになると思われますか?
    手塚
    ある意味で、私は大学の先端研究は従来型の大学と切れてしまっていいと思っています。ドイツにマックスプランクという研究所(約68の専門別研究機関)がありますが、これは連邦の予算と州の予算で6〜7割、あとは民間基金で運営されています。先端研究であればあるほど金も集まるわけです。ノーベル賞を見ても、プリンストン高等研究所などは受賞者を輩出していますし、江崎さんはIBM研究所という民間の機関にいました。
     私は東大を筆頭とする大学だけに権威があるという考えはおかしいとさえ思っています。日本人の頭には、大学に権威があるという考えが染みついている。これがある限り、科学技術や社会科学の実践的学問の進歩は難しいでしょう。
反町
大学は教育に専念して、研究はまた別の機関で行うと?
    手塚
    実を言えば、大学は膨大なる学生の教育と後継者作りに追われて、手一杯なのです。結局、これまではアイディアをもつごくわずかな人たちだけが大学の枠を飛び出して、民間企業とコンタクトをとりながら、そこから受け入れた問題意識を大学にもち帰り、大学の人材を使って、ものにしてきたというのが日本の大学のありようでした。
     私はある程度、教育を主体とする大学から、先端研究の部門を切り離したほうがいいと思っています。戦前はその唯一のモデルとして理化学研究所がありました。行政改革の流れの中で、文部省と科学技術庁が一緒になりますが、そのような機関を独立行政法人として作っていかなければならない時期に来ていると思います。

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