反町
ロースクール構想が実現に向けて動き出そうとしています。東北大学は6年制の一貫教育の導入を考えているようです。専門大学院を作る際、どのようなカリキュラムにすれば、改革の狙いが達成できるとお考えですか?
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手塚
アメリカと日本では政治制度がかなり異なりますから、一概に比較はできませんが、日本の行政システムを改革していくうえで、アメリカで行わ今から6年前、大学の教養過程の2年間が廃止されました。そのことで、4年間の一貫教育ができるようになったように見えますが、従来のスタッフがそのまま残っているわけです。それ自体は悪いとは申しませんが、それに縛られて、結局、独自の教育ができない可能性もあります。私たちがロースクール構想を作るときは、4年制にして、カリキュラムを1年次から変えていかなければならないと議論しています。
英語にしても、教養としてシェークスピアを学ぶのはいいが、法律や経済では、コンピュータ用語の共通言語が英語です。インターネットを含め、英語でアクセスせざるをえない。まずはそれを使いこなせなければならない。とりわけエコノミストを育成するには、そういう能力を身につけさせる教育が不可欠です。
もちろん、人間の知的生産の根底に哲学や文学があることは認めます。大学でシェークスピアを学ぶのであれば、アメリカ型にして、4年間、グラディエイトスクールで学んから、ロースクールで学ぶというシステムにすればいいでしょうし、複線構造を取るならば、自然科学やその他の学部を出た有為の人材をロースクールに受け入れてもいい。既存の法学部が存在する限り、それを前提にするしかないが、将来像としては、そういう考えがあっていいのではないでしょうか。事実、私たちが考えているプログラムでは、経済では、自然科学系統を出た人を受け入れてもいいという話になっています。
反町
専門大学院の設置について法律では、教員数を通常大学の2倍置く、また相当数の実務経験者を置き、職業人養成に相応しいカリキュラムを作る。これが要件になっています。ロースクールの教官について、どのようなお考えをおもちですか?
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手塚
六法に当たる基礎的な法的知識を身につけて、その上に実務教育を加えるわけですから、教官は実務家が参画し、これまでの2倍近い教官定員になるだろうということは、私たちも読み込んでいました。実務家としては例えば国際弁護士事務所、裁判所や法務省など協力を得ながら、専門家をスタッフ、客員として受け入れたいと考えています。
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