社会福祉士やボランティア、ケアマネージャー、ホームヘルパーその他の候補になる専門家がいます。それらとどのような連携をとるべきだと思われますか?
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額田
「協力には、全体としての協力関係、個別の事例での協力関係の二つがあります。まず全体の協力としては、制度作りや後見人の養成などに関して、組織と組織との協力が不可欠です。そのうえで今、欠けているのはコーディネイター的機能を果たすことができる組織です。関係する業種の人がそれぞれに問題を持ち寄り、検討すればいいといっても、中心になって旗を振るところがない。幹事役すらいない。そういう状況を変えていかなければならないと思います」
額田
「成年後見制度では、財産管理だけではなく、身上監護の面、つまり利用者本人がいかにして安定した平穏な生活を送ることができるかということが重要であり、日常生活や健康に関する配慮が不可欠です。そのためには、さまざまな専門家がそれぞれの得意な分野で力を発揮して、協力するという方法が現実的です。見守りは本人に近い人などに担ってもらい、複数後見人にすることが現実的な対応といえます。いきなり見ず知らずの弁護士が落下傘で降りてきたように、ポンと後見人に就任したところで、なかなかいい仕事はできないでしょう。本人との信頼関係が形成されていないわけですから。やはり、常日頃、目を光らせて、その高齢者を見守っている人がいなければならない。見守りについて言えば、弁護士や税理士、あるいはケアマネージャーであれ、ひとりの老人に毎日つききりになっているわけにはいかないとなれば、家族やホームヘルプサービス、ボランティアの支援を求めるなど、さまざまな方法を考えなければならないでしょう。利用者の身近にいて、ある程度、心理的なつながりがある人が間に入ってもらうようにしないと、うまくいかないのではないかと思います。
身の回りの世話は近所の人がボランティアで行ったりホームヘルパーを頼むといった形のほうがスムーズに進むはずです。逆にそのようなボランティアなどは身の回りの世話は得意でも、財産管理や法律問題の処理はできない。そのようなときは、弁護士なり司法書士が受け持つ。そういう協力関係を作っていかなければならないでしょう」
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