渡辺
地方分権を急がなければならない背景として、未曾有の少子高齢化社会の到来があります。それに対応するには、地域に密着した行政運営が必要なのです。お年寄りが車椅子で行動できる範囲の環境を整備していく。また地域経済を支える中小零細企業のために環境作りをして、地域経済を活性化する。そのことで、自治体の歳入を増やす。少子高齢化社会に対応するための財源の確保は地方自治体の役割として、ますます重大になっていきますから。
反町
地方分権を進めるには、同時に中央政府の改革も必要ですね。
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渡辺
本来、国がやるべき仕事は何かを議論して、国が担当しなくていい仕事はどんどん地方や民間へ移していく。そのためには規制緩和を進めることも大事です。ただ、そのとき、考慮すべき問題があります。
昨年、私たち1期生の国会議員が49名集まり、「ガソリンスタンドを考える若手議員の会」を結成しました。ガソリンスタンドは規制緩和のフロントランナーで、変革がかなり進んでいます。しかし、全国6万のスタンドのほとんどは中小零細経営で、規制緩和後の自由化の荒波にさらされ、倒産や営業譲渡を余儀なくされています。それも公平な条件のもとでの自由な競争の結果、そうなっているのではありません。元売りの系列が同じでありながら、同じ地域でも卸の単価が違うという状況があるのです。彼らは「公正な競争の結果として淘汰されるのなら納得できるが、この格差の中での競争という前提がおかしい」と言うわけです。また取引上のトラブルが発生したときも、元売りとガソリンスタンドでは力の差が歴然としています。紛争が司法の場に持ち込まれれば、体力がなく、太刀打ちできません。明らかに契約対等の原則に反していますが、表面的には対等な契約として認識されるているのです。規制緩和の目的は公正な競争を推進することにあります。公正さが確保されなければ、弱いものは負けていくしかない。そんな社会は誰も望んでいません。中小企業も実質的に対等な立場で交渉できる体制作りをする必要があります。規制緩和を推進すると同時にそのような課題にしっかり取り組んでいかなければならないと思います。
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