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第145回通常国会を統括する

時代のターニングポイント


反町
今年の通常国会では、国の根幹に関わるような重要な法案が数多く通過しました。会期を終えて、渡辺先生はどのような感想をお持ちですか?
    渡辺
    とくに6月10日に衆議院を通過した中央省庁改革関連法と地方分権一括法のふたつは時代のターニングポイントとなる非常に重要な法案でした。
反町
地方公共団体で仕事をされた経験がある渡辺先生は、この法案の意味合いをどのようにごらんになりますか?
    渡辺
    地方分権時代への第一歩ととらえています。私は昭和50年から60年にかけて千葉県の松戸市役所の職員をしておりましたが、当時から国と地方の関係を見て、いかに権限が国に集中しているかを実感していました。国会議員になってからも、国と地方の役割分担を見直すべきだという問題意識を持ち続けていましたが、いよいよこの法案の成立で、日本は中央集権的国家から地方分権国家へと移行していくことになります。
反町
21世紀の日本の在り方を方向づける重大な法案であったといえるでしょうが、その審議のプロセスはいかがだったでしょう?
    渡辺
    この法案に関する自民党の審議のプロセスは極めてオープンでした。また行政改革本部を中心に非常に多くの国会議員が会議に参加して、熱心に自らの意見を述べました。
反町
逆に国の政策決定のプロセスで問題と思われる点はございますか?
    渡辺
    政策を決定するとき、全国団体レベルの代表者の意見を参考にします。日本弁護士連合会であるとか日本医師会などのトップや役員にご意見をうかがう。それも大事ですが、それだけでは政策が偏ることにもなりかねない。もっと地域の声や現場の声をきくシステムを確立すべきではないかと考えています。
反町
国の政治に地方の声をより反映させる。そのような意識改革が今後、進むと思われますか?
    渡辺
    はい。今回、成立した地方自治分権法はひとつの刺激となるでしょう。これがきっかけとなり、より自立的な地方自治を目指す意識が根づいていくと思います。これまで自治固有の事務もありましたが、機関委任事務(注1)が大手を振っていました。今後は法定受託事務(注2)として、法律に明記されたことのみをやるようになる。機関委任事務という曖昧な形の国から押しつけがなくなります。権限の委譲が明確にされたことは大きいですね。
反町
さらに地方分権を推進させるためには財源の見直しが不可避ではないでしょうか?今回の地方分権推進法では、税制改正に手をつけていないですね。
    渡辺
    先程、私がこの法案の成立を“第一歩”としましたのも、そこにあります。いくら権限をもらっても、財源が伴わなければ、何もできないのが現実ですから。現在の財源配分は国が6割、地方が4割と、地方のほうが小さいのですが、これから国の役割を小さくしていくなら、この財源配分を逆転させていかなければなりません。

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