今、ヨーロッパはEUという形で一つの国家に向かって、歩み出している。ヨーロッパと比べて、アジアは宗教も価値観も差異が大きい。そのアジアで、法律が共通の基盤として確立する日は来るのだろうか?
「アジアにアジアのための実質的な仲裁機関、紛争解決の共同組織ができればいい。そのようなことを法務省の方々などとも、ときどき話します。現状は、アジアの国同士の紛争をアメリカやイギリスで仲裁をするといったケースもあるわけです」
これまでアジア諸国への法整備の支援に関しては、官民とも、欧米諸国が先行していたと言わざるを得ない。日本政府がこの事業について進んでリーダーシップを取ることができなかったとすれば、その背景には、半世紀前の記憶があるのではないだろうか。
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「政府がはっきりとした姿勢を示すことは重要だと思います。今回、ベトナム、カンボジアについて、法務省は本腰を入れていますが、そろそろ日本も政府ベースで、きちんと対応していく時期ではないでしょうか。その意思が見えれば、民間もさらに協力してやっていこうということになるでしょう。今、ようやく、そういう状況を迎えつつあるという段階だと思っています」
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平成13年、大阪中ノ島の阪大病院跡地に、法務合同庁舎が完成する予定だ。そこを拠点として、日本のアジア法整備支援は新しい時代を迎えようとしている。
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