国際民商事センターは民間企業が主体となって成立された財団だが、アジア諸国で活動している商社をはじめとする民間企業が蓄積した法務に関するノウハウは法整備支援のために利用できないのだろうか?
「確かに民間企業の法務部には、かなり人材がいます。外国に数年間、滞在して実際に法律に関する仕事の経験をしてきた法務担当者というのは非常に貴重な人材です。
アジア諸国で仕事をしている日本企業の法務担当者は、何かことが起これば、現地の弁護士を使うなり、アメリカのローファームを使うなりといった対応をとります。そういった個別の案件については各企業とも、きちんと対応しているはずです。われわれは、アジア諸国の法の実態ということに関心があるわけですから、そういう意味では、実体験をもつ企業法務の方は非常に貴重な人材です」
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当然、経営者は、具体的な問題に対応するために人材を置いているので、アジアの法整備に協力してほしいと声をかけても、現地での基礎的な調査といった分野までは、依頼しにくいのが現実だという。
「企業としても、忙しい中、なかなか人を出すわけにはいかないはずですが、座談会の講師としてお話をしてくださいとか、パネリストの一人として参加してくださいという内容のお願いすれば、企業の垣根を超え、意外にも快く協力していただけることが多いのです。 とくにマルチ研修については、毎年2社にお願いして、人を出していただいていますが、それが非常に良い経験になるということで、企業側にもたいへん喜ばれています。なにしろ、6カ国から来る方々と、1カ月を越え、一緒に生活して、ディスカッションをしたりしますので、非常に親しい関係になるわけです」
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