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アジア法整備支援

日本の法整備支援のスタンス


 ベトナム、カンボジア両国の支援とも、政府の国家的要請がスタートとなった。この事業はアジア諸国に日本に学ぼうという意識があることが前提となる。ベトナム、カンボジア両国政府は日本にどのような期待をもっているのか?
 その点を、外務省経済協力局技術協力課の外務事務官・水野光明氏にお聞きした。
「行政主導によって、戦後復興を果たした経験をもつ日本に、アドバイスを求めたいということがあったのではないでしょうか。
 日本の戦後復興は通産省が大きな方針を立てて、それに企業が合わせ、育っていった。成長してから、政府が手を離して、自立していった。そういう経過を辿ったと思います。
現在、市場経済を導入しつつある国で、一気に改革を行っても、うまくいかないケースがあるのではないでしょうか。国営企業に対して、もう国は面倒を見ないから、私企業になれと突然、言ったとしても、ただ多くの失業者が生まれて、社会混乱が生じるだけに終わってしまう懸念もあると思います。そういった意味において、市場経済化のための法整備について日本の経験に学びたいという意識があるものと思われます」
 法整備は、ただ日本の案を翻訳して、相手国に押しつければ、それですむというわけではない。ベトナムにせよ、カンボジアにせよ、日本や欧米の各種の法律を勉強してもらい、先方の意見を聞きながら、実際にその国に合った法律を作るためにはどうするかを考えるという。


 また、支援のポイントとしているのは、その国が独自で立法できるようになるための人材育成だという。 「極端な話をすれば、日本の法律をそのまま現地の言葉に訳して、これを使ってくださいということも、協力の一つの方法といえるのかもしれません。ただ、それでは本当の意味での技術協力にはなり得ないと思います。それより、まず彼らに『日本の法律はこういう考え方によって作っている』ということを理解していただく。そして、それを自分たちの国にうまく適用させるにはどうすればいいかを自ら考えていただくようにしています。  今年、日本は民法、商法施行100周年を迎えます。その100年分の知識の蓄積があるわけです。確かに長い歴史の中では、失敗した例があるのかもしれません。それも含め、これまで培ってきた知識を提供することが大事ではないかと思います」(田付氏)
 上意下達のように、完成した法律を翻訳して手渡すのではなく、いかにして法律を作るかということを指導する。そして、日本が手を放したとき、自分たちで立法していけるようにする。そういう協力の形を理想としており、また、そのような日本側の姿勢は相手国側からも、評価されているのではないかという。

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