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アジア法整備支援

ベトナムへの支援


 共産主義体制を採るベトナムでは、1986年に政府がドイモイ(刷新)路線が採用され、市場経済化、対外開放政策を推進するという方針が定められた。その背景として、市場経済をとる近隣諸国のタイなどの経済成長が著しく、このままでは引き離されてしまうという危機感があったものと思われる。
 当然ながら、共産主義体制における法制度と市場経済において必要な法制度はまったく異なる。
それまでベトナムはソ連の法制度を基礎としていたが、市場経済化を果たすためには、西側諸国の法制度にならった法的枠組みを構築することが必要になった。
 そのため、同国政府は各国政府、国際機関の協力を得て、法整備を進めることを決め、平成4(1992)年には新しい憲法を制定し、平成7(1995)年には民法を制定した。


 わが国との関係が本格化したきっかけは1995年に制定した民法起草の際に森嶌昭夫教授(当時名古屋大学教授/現上智大学教授)が助言したことである。
 ベトナム政府から日本政府に対して、市場主義経済の導入に対応した法整備、及び人材の育成に関しての協力の要請があったのは、平成6(1994)年だった。
 日本政府はそれに応える形で、実施協議調査団を派遣した後、平成8(1996)年、旧社会主義国に対する政策面のアドバイスを目的とする重要政策中枢支援の一環として、ベトナムに対する法制度支援を始めた。
 合意に達した具体的な協力の内容は以下のようなものだった。



「ヴィエトナム重要政策中枢支援:法整備支援」概要
(外務省の資料より一部抜粋)

●英文名称
    The Japanese Cooperation to support the Formulation of Key Government Policies on Legal System”
●協力期間
    平成8(1996)年12月1日〜平成11(1999)年11月30日
●実施機関
     国際協力事業団地域部準備室インドシナグループ
●相手国実施機関
     司法省(Ministry of Justice)
●協力目的
     ベトナムで進行中の市場経済化に適合した法制度の整備を図るため、司法省を対象とした以下に関する助言・指導を通じて、民法・商法等の市場経済化に必要な法的枠組みの整備に関する支援を行う。
    1. 民法に関する諸問題(民法典の付属法令<戸籍、不動産登記制度を含む>)、民事手続き法(民事訴訟法、民事執行法を含む)
    2. 商法に関する諸問題
    3. 司法分野における人材育成
●日本側協力内容
    1. 専門家派遣
       コーディネーションを目的とした長期専門家1名の他、経済犯罪、地域経済統合、アセアン投資法、海事法、独占禁止法の各分野の現地セミナーの講師として短期専門家を派遣。
    2. 研修員受入
       国別特設コース(会社法・証券取引法)(知的財産権)の各分野で実施。
    3. 社会調査
    4. 文献供与(日本法など)
 以上のような内容で、ベトナムに対する法整備支援が行われている。  1994年〜1998年の協力実績としては、専門家派遣が短期34名、長期1名の計35名。研修員の受入れが計61名となっている。


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