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地方分権時代を先取る柏市の市政を聞く
反町勝夫 地方分権時代を先取る柏市の市政を聞く


「集客型農業の展開」
本多晃氏
LEC東京リーガルマインド
代表取締役会長
反町勝夫
VS 柏市長
本多晃氏



反町
 最後に市政発展のための重要課題についてお聞きします。常磐新線が2005年に完成する予定ですが、これにあわせて柏市北部の駅周辺を中心にして、都市整備と農業を両立させることを企画されているそうですが、これはどのような考え方でしょうか?

本多
 柏市は都心から30キロ圏にありますが、野菜の近郊農業が盛んなところで、現在でも、野菜農業の年間売上高は70〜80億円あります。トマト、カブ、ネギ、中国野菜など特色のある付加価値の高い作物を作っています。産業として良いことであるし、街全体から見ても、農地が保存されるのは良いことですから。

反町
 そうですね、バランスのとれた美しい街になりますね。

本多
 都市的な整備をするところと、農地として保全したり拡張するところをうまく調和させる。その一つの将来像が「柏市北部地区農業活性化計画」(注2)です。柏市内には常磐新線の駅が二つできます。このうち柏北部東駅(仮称)の周辺に非常に広大な利根川沿いの農地があります。これを残して集客型農業を展開する計画です。柏では市民農園として土地を貸し、市民が日曜日を利用して野菜を作るというのが非常に盛んなのですが、それにプロが作る近郊野菜を組み合わせた集客型農業をやろうということです。

反町
 それはすばらしい。一般には新駅の周辺の開発で終わってしまいますからね。

本多
 これからは大規模な開発を一気に行う多摩ニュータウン型は時代に合わないし、無理です。やはり農業と一緒に行うというようなことが必要ではないでしょうか。

反町
 最後に市の発展のためにこれから力を入れていく政策はどのようなものですか?

本多
 常磐新線の建設とその沿線の整備ですね。

反町
東大のキャンパスはかなり人口集積のメリットがあるでしょう。

本多
 学生・職員だけで3,000人います。それから理工系の研究所などが多いので、常時、滞在して研究に取り組んでいる外国からのお客さん、また全国の共通利用施設もあり、それを含めると5,000人に近い集積になると思います。

反町
 いつ頃から東大の移転が始まるのですか?

本多
 第一号の物性研究所は今年中にスタートします。全体の理工系の大学院と研究所がすべて立地するのは20年くらいかかると思います。

反町
 まさに前途洋々たる市ですね。今後とも地方自治体の良きモデルであっていただきたいと思います。

本多
 ありがとうございます。


用語

注1/のぞみプロジェクト
「先進的教育用ネットワークモデル地域事業」として千葉県では柏市が選ばれた。柏市の研究テーマは「地域教育用ネットワークを活用した、 さまざまな方向性の共同学習・交流学習の研究(児童・生徒の作成したコンテンツのデータベース化とその共同利用/リアルタイム交流にお ける共同学習と交流学習/地域学習素材を生かした共同学習/地域社会に向けた学校の広報機能/ネットワークを利用した教員研修の持 ち方)

注2/柏市北部地区農業活性化計画
柏市が97年に「柏市北部地区農業活性化計画」を策定した。常磐新線の柏北部東駅(仮称)の周辺を核として北部地区全体を「農産物生産・販売のメッカ」とすることが目標。駅前開発に伴う農業の街づくりは全国でも例がなく、注目を集めている。

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