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LEC東京リーガルマインド 代表取締役会長 反町勝夫 |
VS | 柏市長 本多晃氏 |
反町 さて今、「地方の時代」と言われています。地方分権推進の流れを受けて、市長としては職員の方にどのようなお話をしておられますか? また今後の地方公務員はどのような能力を身につけていかなければならないとお考えでしょうか? |
本多 肝心なのは一人一人の職員の能力と意識です。法律が変わっても、受け手側の能力なり、意識が変わらないといけないのですが、それは一朝一夕にはいかないと思います。地方自治体の職員だけでなく、議員も市民も、日本の場合、自分たちのことは自分たちで決めるという“自治意識”がまだまだ薄いように感じられます。 ただ、精神論だけ言っていても進みませんから、私は具体的に「“指導”という言葉を全廃しよう」と言っています。何かあると職員は「国の指導でこうなりました」とか「県の指導で」と言うのです。エクスキューズとして使う場合があるわけです。また聞いたほうも、それでなんとなく納得してしまうところがある。指導を受けることは良いが、それを判断して、採用するかどうかは自分たちの責任ということにしなければなりません。 |
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反町 変化が激しい時代になり、さまざまな能力、専門的な技能が必要な時代になっています。民間企業はどこも専門職を採ろうとしています。行政サービスに関しても複雑化・細分化がますます進展していると思われますが、個々の公務員も従来に増して高度な専門性が求められるようになっているのではないでしょうか? |
本多 制度的に言えば、地方公務員制度をもう少し流動的にできないものかと思いますね。現状としては中途採用もなかなか難しいのです。 |
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反町 国は専門職はさまざまな形で、中途採用を行うようになっていますね。また今、国では3年くらいの短期の雇用を認める方向になっています。あるプロジェクトを完遂するのに1年間では終わらないということもあるでしょうから。 |
本多 地方自治体では職員の雇用契約に期限つきのものはありません。1年以内の臨時職員はありますが。今は景気が悪いので、地方公務員は非常に良い職場と見られて、競争も厳しいです。で、いったん公務員になれば、辞めるという人がいない。 |
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反町 今は一番良い職場ですからね。民間はリストラがあり、議員は選挙がある(笑い)。 |
本多 公務員の流動化はなかなか起こらないでしょうから、まず現行制度の中で、できるだけ流動化するよう工夫したいと思います。 |
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反町 そうですね。特に予算も単年度でお忙しいでしょうから。 |
本多 法律に関しては現在も顧問弁護士の制度はあります。今般、建築基準法が改正になって、これまで建築主事がやっていた確認業務が外注できるようになりました。こういうことをやっていかないと、なかなか自前でスタッフを揃えることができないですね。 |
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反町 企業には法務部がありますが、地方自治体の中で、法律に対しては、どのようにして対応されていますか? |
本多 顧問弁護士がいますし、具体的な訴訟などについては弁護士と契約して対応します。日常的なことは総務部行政課で法律に明るい職員を置いて対応しています。 |
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反町 契約関係などですね。 |
本多 職員に法律の素養のある人間がもっと必要です。特に地方自治体、市町村レベルでは不足しています。 |
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反町 日本でも司法試験合格者が増えて、今は合格者数は1,000人ですが、毎年5,000〜1万人の合格者が必要であるということが関係者のコンセンサスになりつつあります。日本でもっと弁護士が増えていけば、アメリカのように行政の場でももっと弁護士を活用することができるようになるでしょう。 |
本多 やはり専門の分野では、弁護士が必要なことがありますからね。 |
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反町 インターネットなど新しい分野に関してもそれがあてはまります。 |
本多 情報公開と個人情報の保護という。 |
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反町 情報公開法を含めて、いろいろな案件が出てくるでしょう。 |
本多 今、管理の問題に非常に神経質になっていて、必要以上に現場が萎縮している面があります。そこで管理責任を問われることを恐れています。公園などには厳しい使用マニュアルを課していたりするわけです。 |
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反町 公園を使わせないとか(笑い)。 |
本多 逆に言えば、管理の責任を明確にすることです。一番、根元のところを法律によってきちんと整理しておくことです。 |
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