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落選運動を生んだ韓国の情報公開法

−市民としても、行政の仕事をチェックしていくうえで、意識変革が求められているということでしょうか?
「先日、韓国における情報公開法の視察に行きました。韓国の情報公開法は1998年1月に始まりましたが、いまや本当に、市民や法律家の活動のバックボーンになっていて、新しい運動が展開される基盤になっています。日本でも話題になった落選運動もそのひとつに過ぎないわけです。私は落選運動で有名になった団体を視察しましたが、事務所では、20代の若い法律家と、数十人のボランティアの若者たちが常駐していて、パソコンに向かって熱心にデータを分析していました。その非常に
活気のある事業を見て、今の日本の若者文化とはかなり違うものがあると強く感じました。
 日本も、若い人たちが私事だけに興味をもつだけでなく、公という観点から意識を高くもつような、今日の話でいえば、行政監視における自分たちの市民としての役割、制度の内容を十分に理解して、役割を担うような世の中にしていく必要があるとつくづく感じました」

−今後のご活動のご予定は?
「私は司法修習生のときから情報公開法制定の運動にかかわってきました。情報公開条例を使っての市民オンブズマンによる自治体の行政チェックの実績も上がっ


て、ようやく去年、法律が国会を通りました。何かひと仕事終わったような感じがしていますが(笑い)、私個人としては、今度は国の行政についてのチェックを十分できるような運動を繰り広げたいと思っています。また裁判所による行政チェックという点も踏まえて、裁判所の情報公開法を作る活動をしていきたいと思っています。
 法廷は公開が原則で、判決文の公開は手続きとしては保障されていますが、実情をいえば、国民がもらいに行っても、そう簡単に入手できないということがあります。個人の名前を伏せることなどプライバシー保護は必要かもしれませんが、各裁
判所が判決をすべてインターネット上で公開するような開かれた司法の在り方を実践していく必要があります。
 実はそれについて、具体的な問題が生じています。アメリカの研究者が日本の司法制度を分析するうえで裁判所に交渉しても、思うように判決の電子データがもらえないという現実問題が起きているのです。このことを何らかの形で、社会に問題提起して、より開かれた司法を求めていきたいと思います。開かれた裁判所があって初めて、行政チェックも本当に有効な制度にすることができます」



 
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