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政策の見直しが行われない

−国及び自治体における政策決定プロセス、実行プロセスにおける法律上の問 題はどのようなところにあるとお考えですか?
「国や地方自治体でいったん大きな政策や計画などが決まると、そのまま進んでしまって、見直すことができないことです。中止することも、もとに戻すこともできない。そこに一番大きな問題があります」

−政策の見直しが行われないことは税金の無駄遣いにつながる問題ですね。
「税金の使い方をチェックしていくことは行政監視
のメインの問題といえます。今までのように、右肩上がりの経済で、税収が増えて行くことを期待できる時代ではありません。国や地方自治体の税収は限られています。その中で、国民から集めた税金をいかに効率的に使っていくかを考えなければならない。そのためには行政監視が必要です。
 地方自治体が不必要な土地を購入してしまって、長年にわたって借入金の返済に苦しんでいるとか、公共事業の建設の分野では、費用の水増しの問題であるといった財政上の問題の他に、土木の分野などでは、大規模な事業が環境保全の観点からマイナスではないかといったチェックも行政監視の対象となっています」



−政策などの見直しが担保できる制度が求められていると?
「場合によっては、進んでいる事業や計画を思い切って中止することも必要なのですが、官僚がいったん決めた以上、止めることは前任者の責任問題になるということもあって、非常に抵抗のあるところです。
 それを止めさせることができる法律上の手続きが求められているのですが、そもそも日本では、政策などを決める過程において、国民、住民の意見を聴くことが法律上の手続きとして完備されて
いないのです。平成5年に、行政手続法が制定されたのですが、立法過程で、計画策定手続の部分が先送りにされたため、いまだに政策決定プロセスに国民・市民の意見を取り入れる法的な手続きが存在しないのです。
 最近になって、自治体が『時のアセスメント』制度などを導入するなど、行政としても政策評価によって、政策の見直しをしていこうという機運が起きていますが、政策評価法にしても、ようやく具体的な法制化の作業に入ったところで、まだ法律として制定されているわけではありません」



 
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