↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 2000.vol.2

特集1
税に関する一連の仕事


--税については徴収の制度とともに、使われ方も見直すべき時期ではないかと思われますが、その点についてはいかがお考えですか?
「税理士が経営コンサルタントを行う目的は、クライアントの企業にできるだけ儲けていただくことにありますが、そのことは、できるだけ多く税金を収めてもらうという目的にも通じます。本来、国民は納税額をできるだけ多くしなければなりません。そうでなければ、国がどんどん貧しくなるだけです。
 ただし、その前提として重要なことは、納めた税金が適正に使われているかどうかについて厳然としたチェックを実施することです。
 国は今、様々なところで考えられないほどの税金の無駄遣いをしています。また東京都を始め各地方自治体の財政は破綻しかけています。そのことを質さなければならない。税の使われ方については、今、オンブズマン組織が動いていますし、昨年から、税理士会は地方自治体に対する外部監査ができることになりま


した。ただし、その準備は十分整ってはいません。公認会計士の企業監査は株主のための監査ですが、地方自治体の監査は自治体の市民のために行うもので、目的が根本的に違い、自ずから方法も異なります。私達はその勉強も進めなければなりません」
--税理士は企業コンサルティングをして、企業を儲けさせて、税収を上げて、さらに、その税金の使い方までウォッチする。申告だけに止まらず、一連の流れ全体において役割を果たすことができるということですね。
「そうです。企業の売上を伸ばすには、経費の見直しがあります。それが税理士のコンサルティングの重要な部分ですが、それは地方自治体に対するコンサルティングに関しても同様です。行政に無駄遣いがないかをチェックして、最小限のコストで、最大の行政サービスを提供するためには、どうすべきかを提言できるはずです。一般の納税者がわれわれ税理士に期待するところは、まさにその点にあると思います」


--納税者にすれば、収めた税金が自分たちの地域や国を良くするため、効果的に使われていると思えば、進んで払う気になるでしょう。
「その意味で、税理士は納税者の期待に応えてこなかったのは事実です。それは公認会計士も同様だと思います。その点は十分反省して、今後は質していかなければなりません。それは国家財政とい
う巨大な問題に直結します。今の状況のまま高齢化が進めば、10年後、20年後には大変なことになります。厚生年金問題ひとつ取っても、現在の30代の方は1.8人で高齢者1人を支えています。高齢化がピークを迎える2020年には、どのような状況になってしまうのか。革命が起きないのが不思議なくらいの時代になる可能性さえあるのです」

→Next

↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 2000.vol.2
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.