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業務独占の範囲が狭い資格


--規制緩和の流れで、士業の業務独占が議論されています。これについてはどのようにお考えですか?
「行政書士の業務は基本的には書類の作成ですから、業務独占の範囲が狭いわけです。さらに行政手続法は到達主義をとっていますので、届きさえすれば、誰が申請代行しようといいわけです。私たち行政書士はプロとして、依頼を受ければ、できるだけ早く、安く、合法的に免許なり、許可なりを取ります。依頼者の目的が完了するまで責任をもつのが私たちの業務です。しかし到達主義がとら
れたため、行政書士以外の人間が“放り込み型”で仕事を請け負うようになっています。そういう人に頼んで、補正の必要が生じたて、依頼者本人が役所に呼び出されるケースが出ています。
 ここが行政書士に業務独占が無いことの弱点です。司法制度改革においても、手続代行なり、代理権なりにおける行政書士の業務独占の必要性を主張し、その権利を獲得しないと、そのような国民の被害を救うことができません。
 そのひとつの例が自動車の登録です。規制改革によって書類の簡素化や添付


書類の省略などがあって安くできるようになりました。車庫証明でいうと、2000円安くなったのです。ところが代行機関が間に入ると、改革されても値下げされず、業界の利益になっている。業界団体には昨年、追徴課税がかけられました。『規制改革の利益を国民の手に』というのが行政書士会の主張です。
 また資格とは一身専属、つまり個人に付与されるもので、本来、雇用という形はないはずですが、自動車の登録代行センターは行政書士と契約して、業務委託した併設事務所の形にしています。わ
れわれは『雇用行政書士』と言い、業界は『契約行政書士』と呼んでいます。われわれはユーザー負担を生じさせる業務遂行として、その是正を求めています」
--士業の業務独占の問題については規制改革委員会が「第2次見解」を発表しています。これはどのようにご覧になっていますか?
「委員会には公正性を要望したいと思います。特定の産業界の意見で議論が左右されるようなことがあってはなりません。全士業横並びで議論すべきと言いな


がら、行政書士と弁護士だけが取り上げられ、行政書士の業務は民間へ、弁護士の業務は周辺法律職へとされています。業務独占廃止を求めながら、同時に資格制度を活用せよとも提案されていますが、私としては矛盾を感じます。任せるのであれば、すべてについて相互乗り入れを計り、横並びで一斉にやっていただきたいとお願いしたいですね。
 われわれは決して規制緩和に反対す
るものではありません。むしろ積極的に進めています。行政書士法の受験資格も廃止しました。以前は学校教育法による高卒以上を対象とした試験で、朝鮮学校やアメリカンスクールなどを出た人は受験できませんでした。この規定を撤廃したのです。もともと国籍条項はありませんでしたから、今では世界中どこからでも受けられる、まさにグローバルな資格になっています」

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