地方から東京へ出てきて、行政書士になるための勉強している方もいるわけですが、試験に合格した後、東京で開業のチャンスを模索すればいいか、あるいは地元に戻って人脈を活かして開業したらいいのか。それぞれ一長一短はあるでしょうが、そのあたり、どう思われますか?
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塩田
最終的に、どこに根を降ろすかという問題に深く関わるんじゃないかと思います。地方から出てきた方が将来、故郷に骨を埋めるつもりなら、そこで展開していったほうが後々いいのではないでしょうか。もちろん、東京で開業してノウハウを身につけて戻るということもできますけど、東京でできる仕事と地方でできる仕事というのは差があると思うんです。いずれ戻るというのであれば、戻ってから開業したほうが地元にあった仕事が身につくのではないかと思います。
田島
塩田先生がご指摘の観点からすれば、まったく同意見です。ただ、もう一つの観点、つまり自分がどのような仕事をしていきたいのかという見方もあるのではないでしょうか。リーガル・スペシャリストとして経営者路線で、利潤追求をしていくのであれば、マーケットの大きい、東京や大阪などでガッチリやっていくべきです。しかし町の法律屋という路線で、人の役に立ちたい、でも、収入面でも普通のサラリーマン並みの生活はしていきたいということであれば、地元のほうが有利ではないかと思います。
地域のリーガルサービスを社会的責任としてやるという発想の方は地方が馴染みやすい。一方、プロフェッショナルとして大きな金額の動く仕事をやっていきたいタイプの人には東京が向くと。
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田島
やはり、東京は日本で一番のビジネスチャンスの街です。自分のビジョンが大きなものであればあるほど、東京が向くと思います。そうではなく、法律職人として生きていきたいのであれば、東京は向かない。法律職人であるなら、分業化が進んでいる東京より、分業していない地方のほうがいろいろやれますし、頼りにもしていただけますから。
大都市圏の行政書士は内科、外科、小児科と分業している医師のような感じで、地方都市の場合、内科も小児科もできる町医者といった感じですね。
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田島
はい。知人の行政書士は人口1万くらいの本当に小さな町にいますが、その方は税務もやるし、裁判所の書類手続きをするし、簡易裁判所くらいだったら許可を取って法廷にも立つわけです。そして、法的能力も高い。しかし呉市のように人口20万くらいの規模になると、行政書士はひとまず何でも依頼は受けますが、その後で、税理士なり、弁護士なり、司法書士なりに振る
リーガルコンサルタント的立場という意味合いが強いですね。
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