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司法制度改革

改革に重要なのはスピード


ほかに弁護士の業務に関して、論点をあげていただきたいと思います。

「企業の取締役や従業員になるときは、弁護士会の許可が必要ですが、私はこれを原則自由に変えたいと思っています。アメリカには85万人の弁護士がいますが、そのうち15万人は企業内にいます。恐らく日本は35人とか40人という数字です。現状でもアメリカと同じ比率なら、1万7,000人の弁護士のうち、3,000人が企業にいてもおかしくないことになります。日本でも、法廷だけではなくて、能力や知識をどんどん新しい分野で活用していく、発展性のある弁護士像が求められているのではないでしょうか。
 この問題をつきつめていくと、弁護士法の改正につながります。
日弁連が弁護士法改正に臆病だという批判があるとすれば、法改正に触れることを許せば、弁護士自治を取り上げられてしまうという恐怖が大きかったのだと思います。もちろん自治は極めて大事です。だが、自治があるから弁護士が偉いのではなく、世の中に役に立つからこそ弁護士に価値がある。自治そのものを自己目的化する考えはそろそろ変えるべき時代だろうと思います。自治を守りたいからといって、弁護士法には一切触れさせないのはおかしい。そのために、役に立つ弁護士になれない部分があるのだとすれば、そこは徹底的にえぐっていくべきです」


◆ ◆ ◆

国民としても役立つ司法であれば、そこにおける弁護士自治は当然、認めるでしょう。

「司法改革をテーマにした審議会ができたのは、ものすごい時代の追い風といえます。この改革で重要なのはスピードです。繰り返しますが、日本の司法は危機的状況にあります。このまま2000年を越えて、 2005年、2010年とボケッとしたまま進んだら、日本に司法はなくなってしまいます。裁判も外国でやったほうがいいということになる。やがて日本という国そのものがダメになってしまうでしょう」

プロフィール

弁護士・久保利英明氏(日比谷パーク法律事務所)

1944年8月埼玉県生まれ。
1967年、司法試験合格。
1968年3月、東京大学法学部卒業。
1971年、弁護士登録。第ニ東京弁護氏会副会長(任期1年)、日本弁護士連合会常務理事(任期1年)、日弁連研修委員長を歴任。東京大学大学院法学政治学科研究科非常勤講師(商法特別研究ゼミ)。
主な著書に「法化社会へ日本が変わる」(東京経済新報社)、「会社厚生最前線(共著)」(ぎょうせい)、「著作権ビジネス最前線(共著)」(中央経済社)ほか多数。

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