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司法制度改革

司法の経済面の審議の必要性


改革では事務所の法人化も議論されるべきと思われます。国民からみれば、一つの事務所で弁護士以外の士族の協力も得ることができる、さまざまな案件を処理してくれるという意味でも、使いやすいと思われますが。

「さまざまな分野の専門家たちが力を合わせて仕事ができることは今後の法律サービスでは必須の要件だと思います。ただし、事務所を大きくする弊害もあるのです。最大の問題は、 ひとつの共同事務所の中でコンフリクトが起きることです。極端にいえば、顧客だった会社が倒産する。そこに金を貸していた銀行も依頼者だったということです」


◆ ◆ ◆

会社更生法の申し立てもできないですね。

「事務所の力が強くなり、立派な人たちが集まれば集まるほど、コンフリクションがある矛盾がある。これをどうしたらいいのか? アメリカ人の弁護士に巨大な法律事務所ではどうしているのかと聞くと、『弁護士が1,000人いる巨大事務所といってもし、全員がニューヨークにいるのではなく、世界中にちらばっている。支店が違えば、ファイヤーウォールと理解して、コンフリクションがあってもいい』と。もう一つは、顧問契約をせず、 単発の仕事が終われば、契約終了にするということでした。そうはいっても、いい仕事をすれば、結果的に継続して仕事を受ける関係になることもあるでしょう。結局、アメリカで巨大な法律事務所が成り立つのは経済上の理由があるのです。M&Aや独占禁止法などで、一つの大きな事件にかかわっていれば、それだけで食べていけるわけです。それにひきかえ、日本の場合、企業の法務予算の貧弱さがあります」


◆ ◆ ◆

欧米の法律事務所は金融商品の開発やM&Aを盛んにやっています。訴訟だけでそのように大きな事務所を維持するのは不可能でしょう?

「無理ですね。同様に、今、会計監査の責任の問題が公認会計士に突き付けられていますが、現在の公認会計士に対する予算では、粉飾決算のすべてを見抜けと言うこと自体に無理があります。アメリカのシティコープは日本円に換算して、年間、数十億円の監査費を払っているといいます。監査や法務といったところに もっと金を使わなければ、正しい会計もできないし、正しいリーガル・マネージメントもできないと経営者が腹をくくって考えているかが問題です。それどころか逆に、法務部門をリストラの対象にしている会社もある。日本でも、優れた企業はリーガルを重視する方向に向かっているのは事実ですが」


◆ ◆ ◆

日本企業がこれまでの「交際費文化」や馴れ合いの談合と決別して、リーガルに予算を使うことを決意しているのかということですね。

「法律事務所の議論はおおいにけっこうですが、その改革とセットとして、ぜひ経済面の研究をしていただきたい。法律扶助制度以外にも、例えば、医療保険のように全国民が権利保護保険とか訴訟保険といった保険制度でカバーできれば、一挙に問題は解決します。 それによって日本は変わります。すべてを法律によって判断してもらう社会になる。弁護士としても、十分ペイする仕事となるから、勉強する意欲も出て、もっと力をつける。良い循環が生まれるはずです」

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