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特別寄稿
さようなら20世紀(1)
――残り500日のあいだに
株式会社インサイダー代表 高野 孟 氏


★ 本誌もまた世紀末 ★


 80年2月の本誌再刊から20年近く,積み上げると約25センチ,400 字詰め原稿用 紙に換算すれば1万8600枚ほどを精一杯書き連ねてきて,何だか空しい感じもするが, しかしここは気を取り直し,残り500 日を通じて 20世紀のさよならの仕方と,従って また21世紀の楽しい迎え方とを改めて本誌なりに探求することにする.残りの500日 間の過ごし方が,21世紀への“射出角度”を決定するのだという覚悟に立ちたい.


 再刊のときに「10年間は発行を続けたい」と表明し,その後「今世紀一杯は……」と 公約し直して,表紙タイトル下の謳い文句を「世紀末を撃つ!」と改めた.今後1年4 カ月のあいだに,このシリーズを断続連載することを中心に編集を続けて,たぶん来年 末,ということは2001年1月1日号をもってこの形での本誌は終刊することになるだろ う. 従って本誌を継続もしくは新規購読して下さる場合,来年2月の方は1年分,3月 の方は11カ月分という具合に購読料を納めて頂くことになるのでご承知おき願いたい. その先はどうするかまだ分からない.が,何か発信を続けるとすれば,それは電子的形 態をとることは確実である.


 数年前に本誌の電子化について提議した際には,予想通り,かなり多くの反対意見が 読者のみなさんから寄せられた.しかしここ数年でのインターネットの普及は驚くべき ものがあり,例えば最近自分がコーディネートしている10数人から100 人近くの3つ の連絡名簿を整理したところ, いずれも8割以上が電子メールで連絡可能であることが 分かった.もちろん読者の中には,インターネットはもちろんファックスもないという 方がおられることは百も承知しているが,それはこの四通八達のご時世でも「飛行機に は乗らない」と決めている方がいるのと同様の1つの積極的な選択であると理解したい.


そのような読者の方々を失うのは残念であるけれども,反面,(1)電子メール配信なら100 人でも1000人でも5秒しかかからず,(インターネット接続料金はどうせ月極で払って いるから別にして)電話代はその5分の市内料金しかかからない,(2)ファックスだと, ある程度まで同報通信で送ることが出来るが,べらぼうな時間と電話代がかかる上,組 織のファックス番号の場合はいちいち個人名を記した表紙をつけて送らなければならな い,(3)さらに本誌の現在の形のように印刷して郵送すると, 原稿を書いたあと,伝送の 手間,写植代,紙代,印刷代,裁断・製本代,出来上がりを運搬する手間,封筒代とそ の印刷代,宛名印刷・折り・封筒入れ・糊付けの手間,郵便局へ運搬する手間とタクシ ー代,郵送代がかかり,森林やエネルギーなど資源への負荷が大きく,また本来ならも っと創造的な仕事に向けるべき人の時間と能力の浪費になる――などを考えると,この 移行は必然的である.本誌にはまたそれなりの世紀末がある.


 以上で内輪話は終わり,さてシリーズ始めの今回は,20世紀をどう振り返るかの問題 意識を大雑把に見渡して,次回以降,順次各論に入っていくことにする. このようなシ リーズはいつも手探りで進んでいくので,思いつきや読者の方からの指摘でどのように 展開することになるのかは誰にも分からない.

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