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存在そのものが一種のフィードバック

−行政の監視の結果をフィードバックさせて、新たな施策などに活かしていく上ではどのような方法があるのでしょうか?
「まずは行政監視委員会が絶えず機能して、日々、行政で発生してくる色々な問題に目を光らせている。その存在そのものが一種のフィードバックになっています。
 また政府各部門に対する申し入れを、決議という形でやっていくということです。決議という形で意見とりまとめをして、それを行政府に対して、正式に申し入れるわけです。例えば、『警察の信頼回復に関する決議』をしたときには、
国家公安委員会の委員長をお呼びして決議すると同時に、国家公安委員長としての決意表明をしていただきました。また会計検査委員長、官房長官にも、政府として、この決議を尊重して、行政の正常化に努めていく旨、表明していただきました。  さらに会計検査院、あるいは行政監察局とのタイアップを強化することで、既存の行政監視のシステムをより有効に機能させるようにすべきだと思います」


−行政監視について、今後の取り組みとしてお考えのことは?
「法律を作ったら、後は行政任せということから、色々な問題が生じています。  例えば、都市計画法の線引き(注2)の問題があります。都市計画法の中で、調整区域があるわけです。これは都道府県や市が所管して、線引きしているものです。ですから、行政が怠慢ですと、駅前の一等地に市街化調整区域が残ってしまいます。調べて見れば、それは本当にひどい実態です。実は全国にそのような場所はたくさんあるのです。
住民のニーズの変化に対応した都市計画がなされていないのです。 そのような都市計画法の具体的な執行状況といった問題についても、私は行政監視委員会で監視していく必要があると思っています。市区町村の担当者に、線引きの見直しはいつやったか?駅前の土地をどうしていつまでも調整区域にしているのか?など、立法府が立法した精神に乗っ取って、末端の行政にまでチェックの目を光らせていく。そういった機能を持たなければいけないと思っています」


−その他、行政にはどのような問題があるでしょうか?
「私の口癖のひとつに『役所で1カ月かかる仕事でも、民間でやれば3日でできる』というものがあります。たとえ法に則って正しく処理していても、行政の仕事には、恐ろしく時間がかかるケースがあります。それに関しても、呆れ果 てるようなケースがたくさんあります。 例えば、開発許可申請をしたけれど、1年も2年もそのまま放って置かれている。あるいは意欲のある若い人たちが集まって、商店街の高度化事業を利用して共同店舗を経ち上げ、
街の活性化を計ろうとしているのに、3年も4年も待たされる。それも重箱の隅を針でつつくようにA通 達の一言一句を持ち出して、『その通りになっていない、もう一回、出し直せ』などと言われている。そのように日々の行政の執行にまつわる、馬鹿げた話がたくさんあります。  行政はたんに法律の条文通りに執行すればいいというものではなく、速やかに処理することで、国民、住民の利益を損なわないようにするという責任があるはずです。そのようなこともチェックの対象にしていきたいと思っています」





 
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