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国際行政書士の未来
ワンストップサービスの実現

-- 外国企業が日本に進出する際、行政書士以外の士業の仕事も発生するわけですが、それについては、どのように対処されていますか?
「例えば社会保険に加入する手続きがあります。日本企業であろうと外国企業であろうと、外国人を雇用すれば、雇用保険や労災、健康保険などに加入させなければなりません。ちなみに厚生年金は強制加入ですが、加入期間が25年に満たなくても、途中で帰国した場合、一時脱退金を支給するよう法令が改正されました。それらは社会保険労務士の仕事です。

 また外国企業が日本支店を設置したり、日本で現地法人を設立すれば、税務署や府県税事務所、市区町村に届け出なければなりませんから、税理士などの仕事が発生します。
 外国企業の進出は法律専門職にとって相当大きなマーケットを生んでいるのです。
 今のところ、法的な手続きに関しては、入国に際しての仕事をする流れもあり、最初に行政書士のところに話が来るケースが多いのですが、行政書士だけでは処理できない業務については他の専門職にお願いすることになります。



税金に関する仕事については知り合いの税理士を紹介したり、社会保険は社会保険事務所に連れて行くということをしているのですが、『その手続きは行政書士、これは司法書士』といっても、外国の方にはなかなか理解できないわけです。『1カ所で済ませられないのか?』ということになる(笑い)。
 現在、いわゆるワンストップサービスの必要性が唱えられるようになっていますが、ひとつの事務所に、さまざまな専門家たちがそろっていて、そこですべての法律問題を解決できるというサービスは
、時代のグローバル化という意味からも要請があるのです」
-- ワンストップサービスの実現性について、どのようにご覧になっていますか? 「政府にしても規制改革委員会がそのことを考えているようですし、私は近い将来、一人の法律専門職が事務所でがんばっていくという時代は終りを告げ、何人かの法律専門職がグループを組み、さらに事務所を法人化して、ワンストップサービスを行う時代になると思います。
 そのような総合的な事務所はユーザー


にとっての利便性という他にも、多くのメリットがあります。一人では事務所維持の経費は大きな負担になりますが、何人かが共同で維持するようになれば、固定経費をシェアできますから、報酬額を抑えることができるようになるはずです。またさまざまな専門家が議論しながら業務を推進することができるため、より質の良いサービスを提供できるようにもなるでしょう」
-- 業務の高度化ということでは、他の法律専門職との連携の他、行政書士同士でどのようなネットワークを組んでいくかということも重要ではないでしょうか?
「行政書士が扱う仕事の分野はきわめて広範にわたりますが、得意な分野をもつことは絶対に必要なことです。その専門ごとに行政書士がネットワークを組むことが不可欠な時代が来ると思います。入国管理についていえば、ひとつの行政書士事務所に何十人もの専門家をそろえるローファームのような組織を作る方法もあります。また自分の専門外の仕事の依頼が来たら、それを専門にしている行政書士に任せるという手段としても、ネットワークを上手に利用すべきです。
 さらに全国をカバーするような地域的なネットワークも必要です。


最近、私が手掛けた例で、外国企業が京都に支店を設立したいという依頼がありました。すると、定款認証や払込銀行の決定、登記申請といった設立手続きや外国人を入れるための在留資格認定証明書を京都の入国管理局の出張所に出したりと、一連の手続きのために何回 も京都に出張しなければなりません。コストがかかっても、気心の知れた行政書士に頼みたいというお客さんもいますが、できるだけ安くあげてほしいとなれば、京都の行政書士と連携して仕事をしたほうがいい。そのように業務を展開するには全国規模のネットワークが必要です」

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