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司法制度改革

いくら弁護士が増えても仕事は十分にある


会計は国際会計基準になります。

「アメリカと日本で現在、行われている監査を比較すると、アメリカの間さ基準による監査には日本の6倍のくらいの時間がかかります。日本も、アメリカ並の厳しい監査にするといっても、急にできるわけではありません。公認会計士も弁護士も足りない。日本では金融ビッグバンの議論が盛んですが、そのインフラとして、監査業務のレベルを米国並に届かせるまで、どれくらい時間がかかり、どういうトレーニングが必要かという具体的な議論がされていません。それは大問題です」


◆ ◆ ◆

事後チェックの分野を強化しなければ、日本は世界に認められません。やはりその分野で日本は遅れていますか?

「法律でチェックできていないから、変な取引が多いのです。証券会社でいえば、アメリカでは、証券取引法上のディスクロージャーを正しく行っているか法律家が意見書をつける義務が課せられています。日本では、直接の利害がある社内の法務部が見ている。投資家を守るための独立性がない。その他にも、銀行の貸し付けのチェックなどもあります。日本国内における本当の法律実務のニーズに応えるなら、弁護士をはじめ法律実務家の人口を激増させなければなりません。いくら増えても、仕事は十分にあります。心配いりません」


◆ ◆ ◆

クローバル化の流れの中で、日本でも外国弁護士の方々にどんどん活躍していただかなければなりませんね。

「“世界の巨大法律事務所が日本にやって来る。われわれは小さくて、戦えない”というイメージをもっている方がいるのかもしれません。だが、門戸を開放して12年経っていますが、それほど外国法事務弁護士は来ていません。登録して、実際に動いているのは随時70〜80人程度でしょう。完全に自由化しても、そう人数は増えないと思います。逆に開放することで、やる気のある日本の弁護士が世界的な法律事務所のネットワークに入り、パートナーとなって、世界を舞台に、大きな役割を果たすようになる。そう考えれば、喜ばしいことだと思います。日本の法曹界全体の世界的な地位向上のためにも、外国弁護士を本当の同僚として受け入れていただきたいですね」

〈聞き手/東京リーガルマインド会長・反町勝夫〉

プロフィール

外国法事務弁護士・ロバートF.グロンディン氏
(ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所)

1974年、ダートマス大学文学士号。
1980年、ボストン大学ロースクール法学博士号。
1981年、ニューヨーク州、マサチューセッツ州弁護士資格。
1990年カリフォルニア州弁護士資格。
1991年コロンビア特別区弁護士資格。
1993年外国法事務弁護士登録。
ニューヨーク法律家協会国際法部門東京支部会長、ニューヨーク市法律家協会アジア担当委員会委員長、在日米国商業会議所法務委員会委員長、理事、副会頭等を歴任。主な著書に「日本における外国法律事務所の苦境」(インターナショナル・ファイナンシャル・ロー・レビュー)、「企業の日本戦略(共著)」(オイエズ・ロングマン)ほか、論文多数。税務大学校国際税務課程講師。

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