司法制度改革審議会設置法が成立、それを受けて審議会も発足して、いよいよ本格的な審議が始まりました。設置法成立の背景はどのようなものだったのでしょうか?
「司法制度全般にわたって、幅広い議論をすべき時期にきている。そのような世論の高まりが社会的背景としてあげられると思います。とくにユーザーサイドからみて、日本の裁判は時間も金もかかり、十分な救済が図られていない、利用しにくいという批判がある。経済同友会からの提言がその初期のものです。同時期、行革会議でも、行革を行うには司法の拡充が必要であることが指摘されました。その後、自由民主党司法制度特別調査会が報告書を発表しましたが、
この中に、司法制度審議会を設けるべきとする政府への提言が盛り込まれていました。これを受けるようにして、さらに様々な声が上がりました。経団連も報告書を出し、日弁連も発言する。司法制度懇話会などの諸団体、あるいは政党からも意見が出るようになりました。そのような声の高まりを受けて、本審議会の設置法が成立した。そういう経緯であったと理解しています」
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司法制度改革審議会が審議する内容はどのようなものでしょうか?
「司法制度改革審議会設置法の第2条に『二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する』とあります。また、第2条第2項では、審議した結果に基づき、内閣に意見を述べるとされています。これが本審議会に課せられた使命です。
通常の審議会ですと、あらかじめ具体的な審議対象が決まっていて、大臣などから諮問を受けて、答申をまとめる形をとるのですが、本審議会の場合、司法制度の全般にわたる幅広い議論を行うことが期待されているので、設置法の条文で所掌事務が規定され、諮問という行為がありません。また、司法全般という極めてスケールの大きな審議であり、条文の所掌事務にも、『国民がより利用しやすい司法』というように、おおまかなテーマが決められているだけです」
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諮問がないのであれば、具体的な審議項目はどのように決定していくのでしょうか?
「今後、委員が審議を通じて定めていくことになっています。事務局は審議会の議論を主導する立場にはありませんから、具体的な項目に言及することはできませんが、一般論としていえば、審議会は国会での設置法の審議も踏まえて案件項目を決められていくものと言えるでしょう。例えば国会審議で『法曹一元や陪審・参審について審議するか?』という質疑があり、それに総理大臣や法務大臣が『そうなると思う』と答えられています。
また、設置法の国会審議における衆・参議両院の法務委員会の附帯決議があり、そこには、設置法よりも具体的な形で項目があげられています。衆議院法務委員会の附帯決議の第4項には、『法曹一元、法曹の質及び量の拡充、国民の司法参加、人権と刑事司法との関係などについて十分に議論する』とあります。参議院法務委員会の附帯決議の第2項にも同様、審議の内容についての記述があります」
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