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「食料・農業・農村基本法案」の概要とその目的

新農業基本法案が目指すもの


各種データから食料自給率が極端に低下すると同時に、農村の活力が失われていることは明らかだ。 
そのような状況を踏まえたとき、新農業基本法にはどのような観点が必要か。
「この法律は国民全体からの視点に
応える基本理念として、『食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮』の2点をうたい、そして、これらを実現するための基盤となる『農業の持続的な発展』『農村の振興』の2点をあわせて四つの基本理念を掲げています」


[1]食料の安定供給の確保

 まず食料の安定供給を確保していかなければならない。
「質の良い食料を、合理的で国民が納得のいく価格で、安定的に供給することが必要です。また世界の食料需給の今後の動向予測や人口増などを考えると、国内農業生産の増大を図り、
それでも足りない部分について輸入と備蓄を適切に組み合わせていく方向が必要だろうと思われます」
 また海外の食料輸出国が同時に不作になるなどの、不測の事態においても国民が最低限度必要とする食料の供給を確保する“食糧の安全保障”という考え方を規定している。


[2]多面的機能の発揮

 多面的機能が十分発揮されていかなければならない。
「農業・農村の多面的機能とは、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承などです。生産される食料は
輸出入が可能ですが、 多面的機能は基本的に動かすことができません。地域ごとに一定の農業が営まれていないと実現できないのです。これまで外部経済効果として享受できていたものが、享受できなくなるということを意味します」


[3]農業の持続的な発展

 「食料の安定供給の確保」、「多面的機能の発展」を満たしていく基盤として農業の持続的発展が必要だ。
 一つには生産手段である農地、水、担い手を確保し、効率的になるようどのように組み合わせていくか。
それが望ましい農業構造の確立であり、また自然環境とのかかわりあいの中での持続性という観点から、農業に内在する自然循環機能の維持増進が必要であることを規定している。


[4]農村の振興

 農業が育まれる農村をみると、過疎化が著しく進展している。農業の持続的発展のためには、あわせて農村の振興が必要となる。 農業の生産条件の整備とあわせて、生活環境の整備など福祉の向上が求められる。


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