2017年5月30日 LEC資格トピックス
2017年5月26日、参議院本会議で民法改正の法律法が承認され、成立しました。120年ぶりの大改正となります。改正民法は公布日(奏上後30日以内)から3年以内に政令で定める日から施行されると定められています。交付は6月中旬ころとなる見込みですので、施行日は最も早ければ2019年4月1日ですが、2020年4月1日の可能性も十分にあります。
2019年度の国家試験合格を目指す受験生にとっては、施行がいつになるか気になるところですが、LECでは、受験生の皆さんが改正に十分に対応できるよう情報提供を随時、行ってまいります。改正概要は下記の通りですが、試験ごとに重点は異なります。試験ごとにホームページにて情報発信及び解説をしていきます。
改正の概要
改正の柱は以下の5つです。
- 消滅時効の特例である170条から174条までが削除され、時効期間は原則として「権利行使できることを知った時から5年」に統一されました。
- 法定利率が現行法の年5%から年3%に引き下げられました。さらに民間の金利動向に合わせて変動していく制度が導入されました。
- 保証債務について、個人の保証人を保護する規定が詳細に定められました。事業用融資の債務についての保証契約については、特に公証人による公正証書の作成や保証人の意思を確認する制度が詳しく定められました。
- 現在の市民生活は約款によって規制されています。電気・ガス・鉄道・運輸・航空・金融・インターネットなどで広く適用されている約款が当事者を拘束する契約となっています。そこで、約款の有効要件として、定型約款を契約内容とする旨の表示を要求する等、規定を整備しました。
- その他、①意思能力の新設、②代理規定の整備、③債務不履行、④解除、⑤危険負担、⑥瑕疵担保、⑦債権者代位権、⑧詐害行為取消権、⑨将来債権の譲渡、⑩賃貸借に関する存続期間・妨害排除・原状回復・敷金の扱い等など幅広い改正が行われました。
条文が精緻に定められているので、短答式の出題範囲は改正前よりも増えています。また、今回の民法改正に伴って変更される特別法は200以上にわたり、この中には国家試験が出題に使用している特別法も多くあります。したがって、様々な国家試験の短答式・択一式の出題範囲が広がります。他方、改正条文の多くがこれまでに蓄積された判例法や学説の明文化であるので、条文に基づいて書いていけば論理一貫性のある答案が出来上がるので、(条文集を参照できる)論文式試験は容易になったといえます。