下平講師メッセージ
令和5年度行政書士試験を受験された皆様へ
行政書士・LEC専任講師 下平芳寛からのメッセージ
< はじめに >
令和5年11月12日、本試験、大変お疲れ様でした。
今、いろんな思いが巡っていることでしょう。やりきった感、結果に対する期待と不安、あるいは過ぎ去った日々への後悔や反省...。そうした思いは、鮮明なうちに出来るだけ詳しく記録しておくと良いでしょう。真剣に一つの物事に取り組んで感じたことは、その人の人生にとってかけがえのない財産であり、今後に活かせる貴重な資料ともなりますので。
そのうえで、今回どのような出来であったとしても、直ちに自己採点をして、速やかに今後に向けて行動を起こすことが賢明です。LEC静岡本校では、解答速報会・詳細解説会や個別相談会を実施しますので、是非ご参加ください。記述式の解答内容についても、専任講師が採点・評価させていただきます。
< 自己採点の結果、合格できそうな方へ >
行政書士として実務家を目指す方は、合格発表までに、業務内容や事務所開業に関する情報を収集・分析し、実務で必要となるスキル等を学んでおくと良いでしょう。これからの行政書士には、デジタル社会への対応力とコンサルタントとしての役割も求められます。
また、現在の行政書士試験では試験科目から外されている行政書士法についても自ら学んでおきましょう。国家資格者として公益性の高い仕事に就くわけですから、法令遵守及び職業倫理の基本を身に付けることは必須です。行政書士会では、今年から行政書士法を含む倫理研修が義務化されました。また、来年度の行政書士試験からは、行政書士法が出題されることになります。
さらに、実務では広い視野やバランスの取れた人間性も重要になるので、多くの先輩方にお会いしてアドバイスをいただく機会を持つことも大切だと思います。LECでは、先輩実務家による講演会や個別相談会を随時実施していますので、是非ご参加ください。
他資格の取得を目指す方は、行政書士試験の学習経験を活かして、目指す試験の情報を収集・分析しゴールまでの計画をきちんと立ててからスタートするのが良いと思います。短期合格を狙うなら、上質な受験指導校の利用が不可欠でしょう。LECでは、実務家講演会や実務家講師・合格者スタッフによるガイダンス・個別相談会など、合格後まで視野に入れた情報を提供していますので、是非ご活用ください。
まったく別の世界で新たなチャレンジを始められる方は、この試験で身に付けた法律の本質=バランス感覚を今後の人生においても大切にしてください。ご活躍をお祈りしています。
< 自己採点の結果、合格が難しそうな方へ >
真剣に取り組んでこられた方であればあるほど、悔しいでしょうし、お辛いでしょう。今後のことを考えるとき、まずは貴方がこの試験を目指された理由を確認してみてください。これからの貴方の人生にとってこの試験の合格が本当に必要なのかという点についても。そして、必要というのであれば、冷静に謙虚に厳しい現実を受け入れることから始めなければなりません。
再チャレンジを目指す方は、まず早急に敗因分析を行ってください。ご自身で的確な分析をする自信がない場合、受験指導校で定評のある講師に相談することをお勧めします。
そして、原因が明らかになったら、それを克服し来年度の必勝を期すための戦略と戦術を速やかに立て、いち早くリスタートしましょう。現在の行政書士試験は、それなりの覚悟をもって周到な準備をしなければ合格することが難しい試験になっているからです。
たとえ、貴方があと一歩という得点であったとしても、油断して歩みを止めてはいけません。本試験の時点での実力は、あっという間に下降していきます。
合格のための戦略と戦術を考えるにあたっては、前提として最近の試験傾向を把握する必要があります。試験制度が変更された平成18年度以降、問題の難易度が上がり、基本的知識の正確な理解・記憶に加えて読解分析力や論理的思考力なども身に付けなければ合格点を取ることが難しいという状況になっています。
また、司法試験や司法書士試験など法律の学習に多くの時間を費やしてきた方が多数受験していて、合格者の一定割合を占めています。試験の難易度というものは、問題のレベル、合格のために要求される正答率及び合格率だけでなく、受験生のレベルといったものも大きく関係することを見落としてはいけません。
こうした試験傾向からすれば、独学で短期合格を果たすのは一般的に難しく、やはり受験指導機関を利用した効果的な戦略と戦術を考える方が賢明であると言えましょう。ただ、受験指導機関といってもその質は様々ですから、その選択にあたっては、@講座カリキュラムの充実度 A教材の質 B講師の力量 C合格実績 D改正民法対策などを資料として、慎重に判断してください。以下、この5つのポイントについて、説明します。
@講座カリキュラムの充実度
今日の行政書士試験の問題に対して3時間以内で6割以上正解するためには、まずしっかりとした基礎を身に付けること、次にその基礎をきちんと定着させること、さらに試験時間内で処理できるよう対応力を高めることが不可欠です。よって、受験指導機関のカリキュラムも、このような3段階の構成になっていることが理想的だと言えます。
LECでは、基礎を作るための合格講座 → 定着度を高めるための科目別問題演習・記述式対策講座・文章理解対策講座 → 対応力を高めるための各種模試という3段階のカリキュラムを採用していますし、直前期に特定分野を強化するためのオプション講座も充実しています。
また、講座を選択する際には、実力に見合ったものを選ぶことが何よりも大事です。既に一通り勉強済みで来年は再受験だから演習重視の中上級講座を受ければ良いなどと考え、基礎の習得を軽視すれば、必ず伸び悩むことになります。
LECであれば、学習経験者でも本試験の得点が160点程度に達していない場合には、迷わず合格講座から受講して、しっかりとした基礎学力をつけることをお勧めします。
さらに、通学にするか通信にするかといった点も迷うところでしょう。通学クラスなら、スケジュール管理が容易である、質問に即回答してもらえる、進捗状況のチェックや悩みの相談など随時きめ細やかな指導が受けられる、受験仲間を作って切磋琢磨・情報交換し合えるといった多くの長所がありますので、できれば通学がお勧めです。ただ、通信にも多くの長所がありますので、実は併用するのが一番効果的なのです。
LECであれば、東京で収録した講義を通信(Web又はDVD)で受講し、併せて静岡で実施する実務家講師による生講義を通学で受講するというダブル受講が可能です。同じ教材を使って複数の講師から学ぶことができ、実力は飛躍的に向上します。
A教材の質
カリキュラムがどんなに優れていても、学習対象である教材が合格に必要な質を備えていなければ、受験生の努力は水泡に帰することになりましょう。今の試験内容からすれば、良質な教材と言えるためには、過去10年分程度の過去問情報が網羅されている、図表によって具体的なイメージを持てるよう工夫されている、条文とその趣旨・解釈がきちんと載っている、判例が必要十分な長さで引用されているといったことが条件となると思います。
LECのテキストであれば、試験に高得点で合格できるだけの基本的知識が過去問情報と併せて過不足なく載っていますし、図表も豊富で具体的なイメージを持ってもらうための工夫が満載です。また、テキスト以外にも、復習のための一問一答ドリル、記述対策等のレジュメ、模試の問題解説冊子など、得点力アップを図るための教材が充実しています。
B講師の力量
カリキュラムや教材の良さを最大限に引き出し、更なる付加価値まで付けて受講生に提供できるかどうかは、ひとえに講師の力量(考え方×意欲×能力)にかかっています。特に法律科目の場合、受験生がいきなり書籍を読んで理解しようとしても難解で効率が悪く、先に分かりやすい講義を受けてから理解と定着に努める方が格段に効率が良いと言われています。それゆえ、法律の試験における講義の重要性は、極めて大きいと言えます。
講師に求められる力量の中では、考え方=自分の使命・役割を認識して正しい目標を設定する力が一番大事でしょう。また、能力=合格者を輩出する力も重要です。行政書士試験は司法試験と同様に学者が問題を作成しているので、深みのある問題も含まれており、それらにも対応できる法的素養を備えていなければ、合格者を輩出する指導を的確に行うことは難しいと言えます。それゆえ、講師には、条文や判例の正確な知識をその趣旨や理由とともに説明できる力量、問題を解説する際に解答に至るまでの思考過程を論理的に説明できる力量、試験問題から出題意図を推察したうえで今後出題が予想される項目を的確に抽出できる力量などが求められるのです。
LECには、横溝慎一郎講師や日高正美講師をはじめとして、司法試験や司法書士試験などの合格経験や学習経験がある実力派指導者が大勢います。特に、横溝講師の指導の質の高さとプロとしての意識の高さ、日高講師の法律学習の王道を行く指導内容と実務でも役立つ法的素養を育成する力は、大きな信頼に値するものです。また、学習方法論が満載の横溝講師の著書『行政書士 シンプルで最強な合格戦略』は、受験生にとって良き羅針盤となると思います。
静岡本校で生講義を担当する私も、旧司法試験短答式合格者としての経験を活かし、公務員試験の法律科目と併せて、指導にあたらせてもらっています。また、実務家であり行政書士会の役員でもあるので、合格後まで視野に入れた講義を展開することができますし、合格後のフォローにも力を入れています。さらに、行政書士会や大学などで改正民法等の講義を担当していますので、そのあたりの経験も豊富です。
静岡本校で行政法と一般知識を担当する入野剛弘講師も、実務家であり行政書士会の役員も務める新進気鋭の逸材ですので、その誠実な人柄とも相まって、多くの有益な情報をご提供できるかと思います。
C合格実績
各受験指導機関の数年間に亘る合格者数を比較してみてください。そのうえで、多数の合格者を輩出している機関を選択することが、やはり手堅いと言えましょう。
D改正民法対策
平成29年から令和4年までの改正対象事項は、総則・物権・債権・親族・相続の各分野に及び、改正の内容も、判例法理が明文化されたもの、制度の理解の仕方や内容が変更されたもの、新たな制度が設けられたものなど多岐に亘ります。
民法は、行政書士試験の中で最も得点しにくく、合格者でも苦手意識を持っている方が多い科目です。それは、範囲が広く覚えるべき知識が多いことに加え、具体的事例から抽象的な規範を想起し事例に当てはめて結論を出す力(法的思考力)が特に要求されるからです。
こうした特色を持つ民法の指導を行うためには、新法の趣旨(旧法の問題点)を体系的に分かりやすく説明できる確かな法的素養と教育スキルが必要となります。また、テキスト等のインプット教材と過去問等のアウトプット教材が新法に合わせて適切に改訂されていることも必要不可欠です。
LECであれば、前述のように実力派講師陣が揃っていますし、司法試験、司法書士試験、公務員試験などの受験指導を通して改正民法に沿った教材の作成も万全です。
以上の点を総合的に考慮して、ぜひ質の高い受験指導機関を選んでください。
< 最後に >
今回思うように出来た方も出来なかった方も、人としての価値に何ら変わりはないということを忘れないでほしいと思います。貴方に何が起きようとも、陽は沈みまた昇り、季節は巡ります。自然は一定のリズムを淡々と刻みます。そんな自然に包まれて、私たちは生きています、生かされています。
だとすれば、思うような結果が出なかったとしても徒らに不安になる必要はないし、思うような結果が出たとしても慢心は禁物です。受験できたことの幸せを噛みしめて、冷静に結果を受け入れ、その中で修正すべき点は修正し、次のステップへと進めばよいのです。
また、それぞれの年齡や環境によって見てきた風景は様々でしょうから、そうした中で身に付けた知恵は最大限に活かしながら歩んでください。あらゆる経験は宝ですから。
そして、周囲への感謝を忘れず、謙虚に直向きに、適切な方向への努力を積み重ねていくことです。たとえ直ぐに成果が出なくても、前向きに努力を継続していける胆力こそが鍵となりましょう。今この時を大切に丁寧に!
将来、貴方が、人間的にも立派な法律実務家になられ、社会に貢献されることを願っています。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
【 下平芳寛 ?行政書士・LEC専任講師のプロフィール 】
中央大学法学部法律学科卒。
平成22年度行政書士試験合格(基礎法学・憲法・民法全問正解、記述式満点)。
平成23年6月行政書士登録、特定行政書士。
現在、静岡県行政書士会理事(相続家事委員会委員長、法務委員会副委員長)等。
依頼者・官公署・各士業から信頼され、地域の皆様のお役に立てる法律実務家を目指す。
講師としては、行政書士試験の他、公務員試験対策、法人法務研修、市民法律セミナー、
行政書士会・大学での改正民法等の講義を担当。
旧司法試験短答式合格者としての確かな法律的素養に基づく的確な講義、きめ細やかな指導及び手厚いフォローで、県外からも受講者が集まるなど絶大な人気と信頼を得ている。