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特集1
求められる三つの素養


--21世紀の中小企業診断士の在るべき姿とはどのようなものだとお考えでしょうか?
「昔から中小企業診断士に求められる素養としてよく言われるのが、『書くこと』『話すこと』『診断指導すること』という三つです。新しい中小企業支援法によって、今後は、『診断の実績』『能力』『法律(中小企業施策)の知識』という3点がこれまで以上に要求されるようになると思います。
 中小企業診断士の制度が変わるのは、ひとつのエポック・メーキングです。
変化に対応していくには個々の中小企業診断士が実力を磨いていくことが不可欠であり、そのためには資格試験の勉強で得た知識ではなく、同僚・先輩と切磋琢磨することが必要です。私もボランティアで中小企業診断協会の中央支会や東京支部の仕事をしていますが、そういうところの研修なども利用して、力をつけていただきたいと思います。
 中小企業診断士の活動の形態は多様で、資格を取得して、企業に勤めている人もいます。また開業している人の中にも、中小企業事業団や都道府県などの


公的な仕事を主としてされる方もいますし、本の執筆や講演を積極的に行っている方もいます。中小企業診断士にはいろいろな働き方がありますが、つねに資質の向上を目指して、勉強して力をつけることが求められる点は共通です」
--社会的ニーズとして総合的法律経済事務所の実現が求められています。民間の企業コンサルティングの分野でも、ワンストップサービスが可能な、様々な専門職が共同した事務所が望まれているのではないでしょうか?
「企業活動について幅広い知識をもつ中小企業診断士を中心に置いて、弁護士や税理士といった各分野の専門家が両側からそれを支えて、ひとつの事務所で、総合的なコンサルティングを行う。事務所は法人化して、広告宣伝も実施していく。そういうスタイルが実現すれば、それは非常に望ましいと思います。今後、規制緩和が進んでいけば、そのような仕事の方法が可能になるでしょうが、実現する上で、中心となる中小企業診断士は相当勉強をして、実力をつけていかなければならないことは当然です」




やすだ・へいはち

昭和5年、東京都出身。昭和28年、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程卒、同年、大日本製精糖株式会社に入社。昭和45年、中小企業診断士登録。昭和54年、明星物産株式会社を設立。昭和57年、株式会社ニュー・エスピーを設立。著書に『なぜ倒産するか』(編著・経林書房)、『小売・サービス業 勝ち残る店はここが違う』シリーズ全16巻60業種(編著・経林書房)、『金融業界の裏と先を読む』(編著・経林書房)など多数(筆名・安田龍平)。

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