反町
現在、民間企業・団体、官公庁、地方自治体など法的サービスに対する需要が広がり続けています。その需要の増大にどう対応するかは重大な課題です。各士業の業際の垣根を低くするという問題、いわゆる業務独占資格の見直しについては総務庁規制改革委員会でも検討されています。裁判外の法的問題として、司法改革の一環として検討されるべきではないでしょうか?
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保岡
確かにサービスすべき司法関係の事項は今後、多くなっていくと思われます。弁護士も隣接する法律専門の士業の方々と共に広くなっていくサービスに対応して行かなければならない。その大まかな方向を考えるあたりまでが司法制度改革審議会の仕事でしょう。後は政府、与党、また国会で仕切って、決定し、了承してもらえばいい。利害が複雑なことの細かい調整は党の法務部会や司法制度調査会で政治決断をもって行うことが必要です。細目にわたり、一つずつ弁護士会と角突き合わせるようなことではありません。今後、法的サービスの仕事が増加していく可能性を示しながら、「少しおおらかにしていきましょう、これくらいは認めたらいかがですか」とご提示する。その反応によって、弁護士会の司法改革に対する熱意もはかれるでしょう。国民がそう問うべきであり、その代表者である国会がリーダーシップをとるべきなのです。利害調整で、いたずらに時間をついやすべきではありません。
反町
審議会には全体の青写真をつくっていただき、現実の調整は党なり国会が行う。
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保岡
そうです。2年間の審議期間では、すべてを細部まで具体化できません。大事なのは世界一の理想とされる制度をつくるという精神で全体図をわかりやすい絵として描くことです。
反町
橋本内閣の行政改革会議では党の行政改革推進本部が連携して名称問題や部局改組など多くの問題の解決を補った経緯もありますが、今回の改革においても、自民党の役割は重大ですね。
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保岡
例えば、民事法律扶助についてはわが党が先導しなければできない。また国民に身近な法律サービスが必要なことは審議会の答申を待つまでもなく、わかりきった話です。そのように方向性が明確なことは、いちいち答申していただかなくても、どんどん決着をつけていくべきです。審議会で十分に議論をつくしていただくべきもの、審議会で行うには細かすぎるため党で引き受けるものなど役割分担が必要でしょう。
反町
三権の関係から、司法の独立性を言う声もあるのではないですか?
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保岡
司法制度の改革に政治が介入してはいけないという意見はとんでもない。制度改正は国会で行うのです。国民の代表である国会は国権の最高機関として重要です。「自民党には何か下心があるのではないか」と言う人も司法制度改革の議論が始まった当初にはおられましたが、そうではありません。司法制度は、党利党略のような政党の利害によって左右すべきものではありません。日本は大転換のときを迎えているのです。三権の一翼を担う司法がどうあるべきか? 世界一の司法を目指して国民の知恵と工夫を基礎に国づくりをしなければならないとき、国民の代表である国会がまず機能するのは当り前です。イデオロギー対立の時代も終わって、日本の生きる道を国民皆で考えるという時代にあるからこそ、政府・与党として自民党は真っ先に司法制度については取り組みました。その点をぜひわかっていただきたい。
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