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Y2K コンピュータ西暦2000年問題


日本政府の対策の立ち遅れ



 これまでの日本政府の対応を見ると、Y2K対策について立ち遅れているとしか言いようがありません。
 そもそも日本にはY2Kのための国家プロジェクトが存在しないのです。
 確かに昨年、小渕首相は顧問会議をつくり、この問題に対応するよう、指示を出しました。それは一昨年のG8のミーティングで指摘されたことなのですが、昨年9月に来日したジョン・コスキーネン米大統領補佐官(米2000年変換委員会委員長)
に催促されて、やっとつくった形です。
 ただし、その顧問会議は典型的な日本の“形だけの組織”としか言いようがありません。
 各界から代表者を集めて、会議としての形を整えれば、それで責任を果たしたという考え方によるもので、だれがどのような責任を持って対応するのか、それがはっきりしないのです。
 官僚組織にしても、同様のことが言えます。


 アメリカでは情報は会社の重要な財産であるという認識が徹底していて、システムや情報を担当する責任者としてCIO(chief information officer=情報担当役員)を置いています。ところが私がこの問題についてある官僚に問いただしたところ、日本の中央省庁に、CIOに該当するポストがないと言うのです。
 政治も、官僚組織も、問題の責任者さえはっきりさせていないのが現状です。
 Y2Kの問題にあたるとき、重要なことは、まずこれが国家的な問題であることを認識することです。
首相自らが「責任を持って、国の政策によって国民に迷惑をかけないようにする」という基本方針として掲げるべきです。
 国としてどのような対応をとるか、だれがどのような権限と責任を持って対策を進めるのかを明確にすることです。計画の実行のためには、形式だけの組織をつくるのではなく、この分野の真の専門家を集めて、危機管理体制を含めた計画を立て、それを確実に実施していく。そのような実行部隊をつくるべきです。


 政府による対策の目標は国民の生活を守るということです。具体的には水、電力、ガス、石油などのエネルギー、通信、交通網、食料など生活の基本となるものを最低限、確保することです。
 例えば、上水を各家庭に供給するとき薬剤を入れますが、それを制御するコンピュータにはマイクロチップを使っています。2000年にそれが機能不全を起こし、水の供給が止まったとき、どのようにして危機管理を行うか? またその際、国と地方の役割の分担と連携はどのようにするのか?
 電力も重要で、下手をすれば、現代社会の根本が打撃を受けてしまいます。
 カナダでは、停電に備えるため、海岸に軍艦を並べ、そこから電力を必要とする施設に供給するという準備まで行っています。
 また日本では原子力発電は「安全」と言われていますが、アメリカではY2Kの問題の奥の深さがわかるにつれ、その安全性について疑問が高まっており、2000年になる時点では停止させる可能性さえあります。

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