【提言28】 関係省庁、実務家を中心とした、「福祉法務」政策研究組織の立ち上げ |
28−1 福祉・介護サービスに「契約」概念が導入されたことにより、福祉法務の重要性が一層高くなる。高齢者、障害者、児童をめぐって今後どのような法的ニーズが発生し、政府・実務界はどのように対応すべきか、多角的な観点から動向を注視し政策提言を行う、「福祉法務」政策研究組織を立ち上げるべきである。 |
2000年4月1日、成年後見制度と介護保険制度が施行された。成年後見制度は、補助類型、任意後見制度が新設され、本人の残存能力をより重視したシステムになっている。また、介護保険制度についても、利用者はケアマネジャーの作成するケアブランに基づいた介護サービスを決定し、介護事業者と個別に契約を締結する仕組みである。両制度では、本人の自己決定(自由意思に基づく)による契約(法律行為)が重要な意味を持っており、それを法的な面でサポートする人的・制度的基盤が必要である。
これまで、福祉の分野は事実行為のみが施策の中心となり(しかも関係各省庁で別々の対策が行われている)、法的サービスには注目されてこなかった。福祉の概念が今後広がるにつれ、公的なサポート体制づくりが急務である。
そこで、総務庁、法務省、厚生省、地方自治体福祉担当部局、日弁連、日司連、日本社会福祉士会、全国社会福祉協議会などが中心となり、福祉法務の学際的研究と政策提言を行う組織を立ち上げるべきである。 |
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