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通巻 194号

<司法制度改革懇話会>
【提言23】 司法の国際化への対応
23−1 アジア各国への法整備支援を一層拡大すべきである。
23−2 国際仲裁法制の整備促進に、わが国は積極的な役割を果たすべきである。
23−3 海外で法曹資格を取得し、日本国内で外国法事務弁護士、渉外法律事務所スタッフあるいは企業法務部社員として活躍する日本人への報奨制度を設け、外国法の実務専門家を多く国内に確保すべきである。
<理由・解説>
23−1について
 わが国では、国連アジア極東犯罪防止研修所が1962年に設置され、刑事司法の分野で世界的な実務家研修が行われる契機となった。そして今や、法律・会計分野の全般にわたってグローバル化が進み、わが国がアジアに対して期待される法整備支援はかなり包括的に、up-to-dateなものが要求されているといえる。
 すでにベトナム、カンボジアには民事法整備の支援を敢行中である。各国の法体系、法観念に十分留意しつつ、アジア・太平洋地域の先進国代表として、(市場)経済法、知的財産権法、企業法、環境法、情報法などの各分野についても、継続して支援すべきである。
23−2について
 国際仲裁裁判は、国際裁判の一形態として、当事者の合意に基づく裁判官選任と準拠法の設定が可能である点で国際司法裁判所よりも便宜的である。当事者で真に納得のいく解決が得られ、判決には法的拘束力が伴うことから、国際司法裁判所への提訴に代えて仲裁制度を利用すべきメリットは大きい。
 今後は投資・金融問題に絡み、国家が一当事者となる、外国企業との紛争が多発する恐れがある。日本企業がこのような事態に陥ることもある。それ故、仲裁制度利用に関する具体的手順等、国内法の整備とその啓発につき努めるべきである。
23−3について
 わが国では、外国の法曹資格を有し、かつ日本国内で活躍する実務専門家が少ない(勿論、日本の弁護士登録はできない)。
 外国法に関する実務の知識は、企業の海外投資・取引に関わらず、個人の財産関係・家族関係に係る法的ニーズに対応することができる。法的な側面でわが国がガードを固めるには、日本法の専門家として法曹人口を増加させる必要があるとともに、外国法の専門家(当然、法曹資格者)も国内で活躍させる基盤作りが必要である。 そこで、具体的なインセンティブを設けるべきである。資格取得を果たし国内で活躍する実務家への報奨制度を設け、外国法スペシャリストを多く確保すべきことを提案する。

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