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通巻 194号

<司法制度改革懇話会>
【提言14】 被疑者・被告人の公的弁護制度の在り方
14−1 被疑者段階における国選弁護人制度を創設し、適正な刑事手続を早い段階から維持すべきである。同時に、捜査機関の不当な人権侵害を防止するため、取調時の録音権を認めるべきである。
14−2 選任された弁護士の依頼拒否を原則禁止し、必要的弁護事件(刑事訴訟法第289条)で弁護人を欠き、開廷(ひいては、真実発見)が遅れることのないようにすべきである。
<理由・解説>
14−1について
 憲法第37条第3項は刑事被告人の弁護人依頼権を保障している。しかし、被告人の前段階である被疑者の時点も弁護人を付すべき要請は同程度高い。10年ほど前から全国の弁護士会で始まった当番弁護士制度が成果をあげてきており、起訴に至らないまでも、被害者との示談交渉がスムーズに行くなどのメリットがある。
 そして、被疑者取調時に糾問的雰囲気下での自白強要を排除するため、すでに諸外国でも例がある録音権を認めるべきである。これを捜査機関に実施させる場合には、2年間程度の保管義務を課すべきである。
14−2について
 社会的に関心が高い重大事件(しかも必要的弁護事件)に限って、弁護士の選任に梃子摺り、裁判開始に影響することがある。起訴事実がどうであれ、刑事被告人の人権擁護は弁護士の使命である(弁護士法第1条)。顧問先との関係など個人的事情に左右されて弁護人引受けを拒否するのは、まさに弁護士制度の破綻の証しである(弁護士が擁護しようとする社会的正義とは一体何なのか)。
 そこで、弁護士法、刑事訴訟法を改正し、国選弁護人の依頼拒否を原則禁止すべきである。この点、弁護人が引き受けることによって、特別な利益相反が発生する場合(被害者と一定の社会的関係にある場合など)に限り、引受拒否を認めることにすべきである。

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