6−1 「開かれた裁判所」を目指し、情報公開、市民・企業との交流(情報交換)を進んで行うべきである。
6−2 犯罪被害者の保護・安全確保の見地から、被害者通知制度を拡充し、服役した受刑者に係る情報を被害者に遅滞なく提供すべきである。
6−3 法令情報(法律、命令その他法規範性のあるもの全て)・判例情報(地裁以上の全判例)を容易に検索できるシステムを構築すべきである。 |
行政機関の保有情報については、原則として情報公開法の開示対象となるが(第3条以下)、裁判所の保有情報はその対象とならない。司法の独立性・中立性を維持し、国民から信頼される裁判制度を築いていくためには、裁判所が積極的な情報公開を自ら行うことが求められる。
故に、裁判所の側から積極的に市民・企業との交流を深め、信頼を築いていくことが必要である。
映画「日独裁判官物語」では、日常の市民社会とは隔離された閉鎖的な日本の裁判官の有様が如実に映し出された。裁判官すべてには妥当しないが、市民感覚、正義感覚、危機感覚に欠け、それが実際の判決に影響するということが指摘され、法曹一元制度導入の一大論拠となっているわけである。裁判官が超多忙であることは事実であるが、事実認定能力の向上のために自らの感性を磨くことを忘れてはならない(感性は社会的合理性発見の母である)。 |
司法に関する情報提供の一環として、犯罪被害者に対する加害者情報の提供も重要である。すでに、犯罪被害者支援策として、検察庁・警察庁が中心となり事件の処分結果を連絡する「被害者通知制度」が1999年4月からスタートしている。これは、特に少年犯罪事件において非公開とされている審判の内容、結果につき、被害者感情に配慮し、通知しているものである。
この通知制度をさらに拡充し、被害者の要求があった場合には、懲役刑などを終え刑務所より出所する加害者の情報(出所日時、常居所、顔写真など)を被害者に提供するシステムが必要である。特に、性犯罪被害者にとっては必要な情報である。 |
司法に関する情報についてソフトの面で問題となるのが、法令情報・判例情報へのアクセスである。 まず、法令情報については法改正、新法施行があった場合に官報に掲載されるが、国民すべてが官報を購読しているわけでなく、不便である。各省庁のホームページにおいても、政省令のレベルまで最新情報を隈なく掲載しているところとそうでないところがあり、国民が必要とする情報が容易に入手できない状況にある。
また、判例情報については特に民事法分野で重要であるところ、最高裁が最近になってホームページで判決を公開し始めたにとどまり、やはり高裁・地裁レベルの判例にはアクセスが容易でない。
法令・判例情報は実務家すべてに重要である。諸外国ですでに実施されているように、国会・内閣・裁判所がそれぞれ窓口となり、情報を迅速に提供できるシステムを築くべきである。 |
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