↑What's New ←目次
通巻 194号

<司法制度改革懇話会>
【提言4】 法律扶助制度の拡充
4−1 法律扶助予算を毎年30億円確保すべきである。
4−2 刑事法律扶助制度を創設し、包括的な法律扶助制度を確立すべきである。
<理由・解説>
4−1について
 わが国の法律扶助事業は、財団法人法律扶助協会(1952年、日弁連が中心となって設立)によって運営されている。扶助決定件数は97年度に1万件を超えた。今後も破産事件が増加の一途を辿るであろう。法律扶助協会に対する国庫補助は、さらに増額するのが妥当である。
 2000年度政府予算の中では、21億7,532万円が法律扶助事業予算として確保されている。対前年度比で、5倍近い数字であるが、後述のように刑事事件の公的扶助制度確立をも視野に入れ、年間30億円程度の予算を確保すべきと考える。もっとも、法律扶助制度は経済的に困窮している者でも平等にリーガルサービスを受けられるための、いわば受益権的な性格を有する。ジュディケア制を維持しつつ、ニーズのあるところに確実にサービスが届けば、法律扶助制度の目的は達成されたというべきである。それ以上の予算規模拡大は、利用状況を見ての判断となるであろう(アメリカと同様、オープンエンド方式は採るべきではない)。
4−2について
 法律扶助制度については民事・刑事で区別する理由もなく、むしろ諸外国では両者を包含するシステムとなっている。わが国でも公的な刑事扶助制度を早期に確立することが必要である。
 民事法律扶助法案は2000年2月4日に国会提出され、4月21日に参議院で可決、成立した。その一方、民事法律扶助法成立前に、与党・自民党内では刑事法律扶助制度の創設を視野に入れた「総合的法律扶助制度」の導入が検討され始めた。自民党司法制度調査会の「国民の争訟解決を支援する小委員会」は、特別認可法人方式による、被疑者・被告人段階を通じた統一的な公的刑事弁護制度の創設を提言している(2000年3月30日)。この提言内容を軸に、早期に「刑事法律扶助法」を成立させるべきである。

→Next

↑What's New ←目次
通巻 194号
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.