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通巻 194号

<司法制度改革懇話会>
【提言2】 弁護士過疎への対応
2−1 公設の弁護士事務所を全国的規模で拡充するため、必要な人的、予算的措置を講ずるべきである。
2−2 過疎地域における法人事務所の設置につき、法人税、法人事業税、法人住民税の軽減措置を行い、過疎地進出を促進し、過疎解消に努めるべきである。
<理由・解説>
2−1について
 弁護士過疎は、弁護士の大都市偏在の結果として生じている。現在のところ、東京3会、大阪、名古屋に全弁護士の3分の2が集中している。弁護士が活動する市区町村はわずか501にとどまり、全体の14.8%にしか達しない(1997年7月1日時点でのデータ)。供給が需要を圧迫しつづけている状況が、何ら改善されていない。  軽微な窃盗・暴力などの刑事事件、離婚・相続などの民事事件は時と場所を選ばない。国民すべてに「裁判を受ける権利」を保障した憲法第32条の理念を全うするとともに、捜査段階における人権侵害、弁護士にアクセスするための機会費用が増大することを防止するため、公設の法律事務所設置を積極的に行うべきである。  この度、日弁連は会員より特別会費を徴収して設立した基金から、長崎県対馬の厳原町と島根県浜田市の2か所に公設事務所をオープンさせた。基金による全国展開には限界があることから、法務省が補助的役割を担うこととし、開設費用、弁護士報酬を支出すべきである。
2−2について
 弁護士事務所の法人化が認められることにより、事務所の複数設置が加速すると予想される。そのため、弁護士法第20条第3項の改正は、間接的にではありながら、過疎地域への弁護士サービス業参入をもたらし、過疎解消に資するものといえる。  事務所の誘致策としては税制の面から、法人税、法人事業税、法人住民税を軽減することが最も効果的であることは言うまでもない。課税について大都市圏の事務所との違いを明確にしなければ、過疎地域に進出するインセンティブが失われてしまう。

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