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実現した、弁理士法改正

第147回通常国会では、弁理士法改正法案が成立しました(4月18日に衆議院で可決、成立)。現行弁理士法は大正10年に制定された、カタカナ法文の古い法律です。今回の改正で、知的財産社会のリーガルプロフェッショナルと呼ぶに相応しい幾つもの業務権限が弁理士に付与されることになりました。この法改正はまさに、21世紀の真新しい弁理士像が誕生する契機となります。一部を除いて、中央省庁の新体制がスタートする2001年1月6日に施行されます。 新弁理士法に従って、内容を概説していきたいと思います。 第一に、ユーザーニーズに対応した知的財産専門サービスを拡大するため、弁理士の業務権限が幅広く認められました。従来から認められている特許庁への手続代理(第4条第1項)に加えて、工業所有権や著作権等に関するライセンス契約等の仲介・代理、 コンサルティング業務(同条第3項、法律公布後2年以内の政令指定日に施行)、知的財産権の侵害物品等の輸入に係る税関への輸入差止申立や認定手続き(関税定率法第21条)の代理業務(同条第2項第1号)、工業所有権仲裁センター等の専門的仲裁機関における工業所有権に関する事件の仲裁手続(仲裁手続に付随する和解手続を含む、同条第2項第2号)が追加されました。かねてから、弁護士法第72条の規制に触れる可能性があるとの指摘がなされていた業務カテゴリーが、法的に承認されたことの意義はとても大きいといえます。 欧米に比べて、わが国では工業所有権の権利活用面が弱いと言われています。弁理士に上記のような権限が付与されることで、パテントポートフィリオのビジネスとしての活性化が期待されます。 また、特許権等の流通促進のため第


75条により権利確定後の特許料納付手続や質権設定などの原簿登録申請手続き等が独占業務から除外されました。 第二に、弁理士人口の量的増大を図るため、弁理士試験制度の改革が施されます(第2章、2002年1月に施行)。どれほどの量的増大(合格者増員)を図るかについては現在、特許庁の試験制度部会で議論されている最中です。他の士業についても増員が検討されているところですが、弁理士についても同様、知的財産社会全体の需要に見合うだけのサービスが提供できるだけの人的基盤の整備が不可欠だと考えます。 第三に、総合的なサービス提供体制の実現として、弁理士事務所の法人化と地方支所設置が解禁になります(第6章)。「特許業務法人」(第37条)という名称で、一般の会社と同じく準則主義 による設立が可能になったことで、法人化が促進されると予想しています(ちなみに現在は事務所の7割強が所属弁理士が1名となっています)。士業事務所を法人化することの最大のメリットは、委託業務の継続性・安定性を確保できるという点です。全国あまねく特許業務法人とその支所が設置されれば、知的財産専門サービスへのアクセスは格段に向上します。 第四に、ユーザーサイドのフレキシビリティを向上させるため、弁理士の報酬規程、報酬額表を削除するとともに、弁理士会の会則中の広告制限規定を原則撤廃するなどの措置が行われます。これによって、ユーザーの選択の幅が広がるとともに、ひいては弁理士制度への信頼を高めることにつながると確信しています。 以上が、弁理士制度改革に係る法改正の骨子です。



 
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