医師が患者さんの「キャリア」を考えるということ
小川 耕平 さん
株式会社小川医学顧問事務所 代表取締役
目黒駅前メンタルクリニック 院長
青山学院大学 非常勤講師
第10回国家試験 合格
私は精神科医として第一線で働き、臨床では薬物療法を専門としてきました。近年の薬物療法の進歩の恩恵を受け、うつ病が良くなって笑顔で職場に復帰していく患者さんを見るたびに、この仕事をしていて良かった、と実感します。また、精神の病気のために就職がうまくいかない人を支援し、企業の産業医として病気の治療と仕事の両立に悩む人々の相談に乗ってきました。
しかし、薬で精神疾患自体は良くなったけれども、その先にある、「働く」というところまで回復できない患者さんが今もなおたくさんいます。そして、精神疾患のために、働いてみたいけれども働くというチャンスに恵まれない患者さんがたくさんいることも事実です。
私は薬物療法で精神疾患から回復しても、「働く」という喜びにたどり着かない患者さんの苦悩が根深いことを感じ、また、精神疾患のために働いてみたいけれども働くというチャンスに恵まれない患者さんにどうすれば「働く」という喜びを持ってもらえるか、ということを考え続けてきました。
「病気の治療と仕事の両立」や「障害者雇用」は昨今の労働行政・職業安定行政のキーワードですが、ニュースなどで報道されているとおり、実現は簡単なことではありません。これは、精神の疾患が、人々から働くという喜びや生活の安全を奪う恐ろしいものであり、精神の疾患と戦うことがいかに困難なものであるかを物語っているのだと考えています。
医師として自分に何ができるかと悩んでいたところ、志を同じくする先達から、キャリアコンサルタントの資格と、LECの講座を紹介されました。調べてみると、キャリアコンサルタントの資格の勉強をすることで、私の抱えた宿題を解決する大きなヒントが得られるのではないかと思い、LECの講座を受講し、そして、無事合格することができました。仕事と勉強の両立は大変でしたが、やり遂げることができたのは、良い講師の先生と、一緒に勉強する良い仲間に巡り逢えたからです。
私がキャリアコンサルタントの資格を生かすことで、多くの患者さんに「就労」という名前の、決して薬だけでは到達できない「駅」に連れて行くことができる、そんなプラチナチケットを渡すことができるのではないかと考えています。
キャリアコンサルタントの資格を得たことを「転機」として、「計画された偶然」に導かれるままに、精神医学という武器を存分に使いながら、健康状態に応じた人々の「キャリア」を支援していくという社会的な使命を果たしていきたいと考えています。
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