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アドラー心理学とは?キャリア支援と企業価値を高める活用法

アドラー心理学は、キャリア支援や企業研修でどのように活用できるのでしょうか?本記事では、職場での人間関係やモチベーション向上に役立つアドラー心理学の考え方を紹介し、働きやすい職場づくりやチームの生産性向上につなげる実践的な方法について解説します。

目次

アドラー心理学とは

アドラー心理学は、オーストリア出身のアルフレッド・アドラーが創始した心理学で、後世の心理学者や思想家に多大な影響を与えました。人間性心理学の祖ともいわれ、自己啓発の父とも評されるアドラーの理論は、現代社会においても多くの人々に親しまれています。
この心理学は、一般の人々が幸せに生きるための考え方が豊富で、自分自身の心の成長、他者との関係性向上、育児や教育、そして職場に至るまで、人間関係の存在するところならどこでも取り入れやすいところが親しまれている理由だと私は考えています。
また、日本では哲学者の岸見一郎氏のベストセラーで一躍有名になったことも記憶に新しいのではないかと思います。このコラムを読んでくださっているあなたも、その本を読まれたことがあるかもしれませんね。

さらに、アドラー心理学は「目的論」という概念を中心に据えており、人間の行動や感情が何かしらの目標に向かっているという考え方を持っています。この視点を持つことで、個人や組織が抱える課題を解決する新しい視野を得ることができます。

心理学の基本概念と特徴

共同体感覚とは?


アドラー心理学の根幹にある価値観として「共同体感覚」が挙げられます。これは、アドラー自身が何よりもまず理解する必要があると説いている重要な概念です。共同体感覚とは、自分と他者、社会とがつながり、協力的に社会に関わっていこうとする感覚のことを指します。

社会への「つながり(所属)」の感覚を持つためには、競合的・競争的ではなく、協力・貢献的な生き方を目指すことが大切です。例えば、日常生活で「Think global, Act local」のように、足元から社会とのつながりを築いていくことが求められます。また、共同体感覚は、自分自身でたえず育てていく必要があります。これには以下の3つのポイントが含まれます。
①不完全である勇気:自分の不完全さを受け入れ、ありのままの自分を受容する。
②ヨコの関係性:人が人を支配しない対等な“横のつながり”を大切にする。
③小さな一歩から始める:行動が伴うことで、心のあり方が実現し、自分が社会や共同体に貢献しているという感覚を育む。

この共同体感覚は、哺乳類最弱の生き物である「人間」が他者と協力することで種を存続し、進化してきた歴史を見ても明らかなように、必要不可欠な要素であり、幸せに生きるための必須条件であるともアドラー心理学では考えています。

目的論を活用する


アドラー心理学では、人間の行動や感情には必ず目的があると考えます。
例えば、「なぜその人がそのように行動しているのか」を問いかけるのは一般的ですが、アドラー心理学ではこれを「原因論」として捉えます。
この「なぜ?」という問いは、つい悪いところや過去の問題点を探しがちになり、人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、アドラー心理学では「なぜ?」ではなく、「何の目的で?何を意図して?何をしたくて?」といった目的を考えることを重視します。
このように目的に着目することで、相手の行動の背景にある「良い意図」を見つけることができ、結果として人間関係が前向きになります。

例えば、職場で部下がミスをした際に、「なぜミスをしたのか」と詰問するのではなく、「何を達成しようとして行動したのか」を考えると、部下の努力や意図を理解しやすくなります。その結果、ただ叱責するのではなく、建設的なフィードバックが可能になります。

アドラー心理学を学ぶことには、次のような大きなメリットがあります。
①自己受容できるようになる 自分自身のありのままを受け入れる力が身につくことで、自己信頼感が高まります。
例えば、失敗を過度に恐れることなく、「次はどうすれば良いか」と前向きに考えられるようになります。

②思考が整理され、生き方がシンプルに アドラー心理学は、日常生活や仕事におけるストレスの原因を明確にし、解消するための指針を提供します。その結果、心が整い、複雑だった思考や行動がシンプルになります。

③人間そのものを深く理解できる アドラー心理学を通じて、他者の行動や感情の背景を理解する力が育まれます。これにより、対人関係が円滑になり、職場や家庭でのコミュニケーションが改善されます。

私は現在、医師や士業など対人支援の専門職の方々にアドラー心理学の深い学びを提供しておりますが、多くの方々が「自分の軸となる指針が得られた」「モヤが晴れてスッキリと人間を理解できるようになった」「自分や大切な人を不完全なまま受容できるようになった」「自責や他責から離れて、主体的に人生を歩む勇気を得た」など嬉しいお声をたくさんいただいています。

このように、アドラー心理学は自己理解を土台に、人生ににポジティブな変化をもたらすのです。

アドラー心理学の広がりと背景

アドラー心理学は、教育、医療、ビジネスなど多様な分野で実践されています。特にビジネス分野では、新入社員のレジリエンス研修から始まり、若手社員・中堅社員のモチベーション向上やコミュニケーション改善、管理職のための人材育成ノウハウなどに活用されるケースが増えています。

また、近年注目されているメンタルヘルスの分野でも、アドラー心理学が重要な役割を果たしています。例えば、アドラー心理学の「勇気づけ」の考え方は、ストレスマネジメントや不安の軽減に効果的です。「勇気づけ」とは、相手の存在や行動を肯定的に捉えることで、自信や前向きな気持ちを引き出すコミュニケーション技術です。この技術を活用することで、職場環境が改善され、社員の心理的安全性が向上します。

職場における、前出の心理的安全性の重要性はさらに増しています。アドラー心理学は、人間関係の中での信頼や相互理解を深めるための強力なツールとして、多くの企業で取り入れられています。また、社員が安心して意見を共有できる環境が整うことで、イノベーションが促進され、組織全体の成長につながります。

共同体感覚の視点からは、職場での人間関係や所属意識の重要性を考えるヒントが得られます。キャリアは単なる仕事内容だけでなく、働く環境や人間関係も含めた総合的な選択であることをクライアントに理解してもらう助けになります。

キャリアコンサルタント資格の魅力
キャリアコンサルタント資格の魅力

ビジネスにおけるアドラー心理学の役割とメリット

キャリア相談における捉え方と支援技術


キャリア相談では、支援者と相談者がヨコの関係を築き、安心安全な環境のもとで自己開示を促すことが重要です。アドラー派のカウンセラーは相談者と「あたかも友人であるかのように」接することを大切にしています。
「クライエント(相談者)中心」というよりも「協力関係中心」に重きを置きます。支援者も相談者に力を借りてこそ、その場が成立するのだし、互いは対等な関係なのです。
このような環境でこそ相談者は安心して自分自身の考えや感情を整理し、次に取るべき行動を「共に」前向きに考えられるようになります。

さらに、アドラー心理学の目的論を活用することで、相談者が「自分が目指す満足した生き方はいかなるものか」を見出す手助けができます。これにより、相談者は自責や他責の感情から解放され、自らの人生を主体的に引き受ける勇気を持つことができるのです。

自己理解を促しキャリア成長を促進する方法


自己理解を深めるためには、「勇気づけ」の技術が役立ちます。勇気づけとは、相手の努力や存在をありのまま肯定的に捉え、認めることとも言えます。支援者が勇気づけすることで、相談者は自分の価値観や強みを再発見し、キャリア自律と自己成長に向けた行動を選択できるようになります。
また、相談者がヨコの関係の中で自分の考えや感情を自由に表現できると、自己信頼感が高まり、より主体的な意思決定が可能になります。これにより、キャリアの選択肢が広がり、満足度の高い人生を築く基盤が整います。

アドラー心理学を活用した企業研修の効果と種類

社員のモチベーション向上とチームワークの強化


アドラー心理学を取り入れた企業研修では、社員のモチベーション向上とチームワークの強化に大きな効果が期待できます。現代の職場では、中堅社員や若手社員、新入社員が異なる価値観を持ち、組織内の対人関係やコミュニケーションの課題が複雑化しています。こうした状況の中で、アドラー心理学を活用することは、社員一人ひとりが「共同体感覚」を持ち、組織の一員としての自分の役割を理解し、協力し合う環境を作るための心構えの醸成につながります。

社員のモチベーション向上とチームワークの強化研修を見るモチベーション向上研修チームビルディング研修

また、目的論を活用し、個々の社員が「何のためにこの仕事をしているのか」「自分の貢献がどのように組織全体へ影響を与えるのか」を深く考える機会を提供することが、モチベーション向上の鍵となります。このような研修プログラムを通じて、社員が自身の役割に対する責任感を持ち、前向きな行動を取るようになることが期待できます。

最近では、アドラー心理学をベースに開発された「カードゲーム:LwSi」(筆者と産業医の上谷実礼氏が共同開発)を活用した研修も注目を集めています。LwSiは、社員がゲーム(遊び)を通して「共同体感覚」を体験し、心理的安全性を確保しながら、協働力や共感力を向上させることを目的としています。「体験と対話」という実践的な学びの中で、コミュニケーション力の向上や問題解決能力の強化が期待でき、職場環境の改善に役立ちます。

リーダーシップの向上


アドラー心理学を活用したリーダーシップ研修では、管理職や経営層が「勇気づけ」のスキルを身につけ、部下の成長を促す手法を学びます。現代の職場では、トップダウン型のリーダーシップだけではなく、共感や信頼を基盤とした「ヨコの関係性」を重視するリーダーシップが求められています。

リーダシップ研修を見る
リーダシップ研修

「ヨコの関係性で勇気づける」ことを基盤とした関わりの中で、社員は自分の存在意義を再認識し、主体的に仕事に取り組む意識を高めることができます。勇気づけのスキルを習得することで、管理職や経営層が建設的に部下育成を行い、組織全体の成長を促進することに寄与します。スキルは、単に「型」を駆使するだけでは表層的なものとなり、部下にも「中身がない」と思われがちです。しかし、これらのスキルに「寄って立つ本質的な理論」や「哲学」が土台にあれば、より深みや説得力が増すことでしょう。

リーダーが部下を「支配する」のではなく、相互尊敬と相互信頼の関係を築くことで、職場の心理的安全性が高まり、部下が自発的に行動できる環境が整います。これは、アドラー心理学における「共同体感覚」の実践ともいえるものです。
また、リーダーシップに欠かせない対話力の向上には、部下の動機や目標を理解し、個々の成長を促す視点が重要です。リーダーが単に指示を出すのではなく、部下が「どのようなキャリアを築きたいのか」「自分の能力をどのように発揮したいのか」といった自己認識を深めるサポートをすることで、より意義のある対話が実現できます。

さらに、研修を通じてリーダー自身が「不完全である勇気」を持ち、自分自身の弱点を受け入れながら成長していくことが重要です。リーダーが自己理解を深め、自己受容の姿勢を持つことで、部下との関係性が改善され、より効果的なマネジメントが可能になります。

アドラー心理学入門やコーチングの重要性

アドラー心理学では、自己受容の大切さを学びます。これにより、自分自身を肯定的に捉えるコツが少しずつわかるようになり、人間関係でのストレスが軽減されます。また、「勇気づけ」を実践することで、他者との関係がより建設的になり、職場や組織の中での対人関係がスムーズになることも感じられるでしょう。

さらに、「共同体感覚」を意識することで、個人が社会の一員としてどのように貢献できるかを考えられるようになり、仕事への意欲や満足度が向上します。組織の中で信頼関係を築き、互いを尊重するフラットな協力関係を築くことで、チーム全体のパフォーマンスが向上することが期待できます。

こうしたアドラー心理学の概念は、コーチングとも親和性が高いです。アドラー心理学に基づいたコーチングでは、相手の考え方や行動の背景を理解し、「どのような意図でその行動を選択したのか」といった視点で関わります。これにより、相手自身が「自己決定している」という本質的な気づきを促すことができます。

アドラー心理学を学び、コーチングに活かすことで、単なるスキル向上にとどまらず、組織全体の文化や土壌の変革を促すことが期待できます。理論と実践の両方を学ぶことで、より効果的な対話のスタイルを身につけていきましょう。

導入効果としての組織全体への影響

アドラー心理学の研修を導入した企業では、職場環境の改善や社員の働きやすさに変化が見られることがあります。チーム内の心理的安全性が高まることで、社員が意見を共有しやすくなり、風通しの良い組織文化が形成されていくからでしょう。このような環境では、新しいアイデアが生まれやすくなり、業務の改善やイノベーションの促進につながる可能性があります。
また、アドラー心理学の考え方を取り入れると、上司と部下の関係性がより良好になり、適切なフィードバックを通じて個々の成長を支援する文化が醸成されることが期待されます。これにより、部下が安心して自己表現できる環境が整い、モチベーションの向上や業務効率の改善が見込まれます。
もちろん、研修を受けたからといってすぐに目に見える変化が起こるわけではありません。しかし、アドラー心理学の理念に基づいたコミュニケーションを継続的に実践することで、組織全体の雰囲気が少しずつ変わり、結果的に社員の定着率向上や組織の持続的な成長に寄与することが期待できます。

こうした変化を最大限に活かすためには、研修を単発で終わらせるのではなく、定期的な振り返りや実践の場を設けることが大切です。例えば、社内の勉強会やワークショップを継続的に開催することで、学びを実践しやすくなり、職場の中に自然と浸透していくでしょう。

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まとめとアドラー心理学研修の可能性

アドラー心理学は、個人の成長や組織の円滑な運営に役立つ考え方を提供してくれます。本コラムを通じて、その一端を知っていただけたなら幸いです。
アドラーは生前、こう語っていたといわれています。
「私の心理学は専門家のためのものではない。社会に生きる一般の人たちのためのものだ。」
彼は、心理学を特別なものとして扱うのではなく、誰もが日常の中で実践し、人生をより良くするために使えるものであるべきだと考えていました。私自身、この言葉に深く共感し、社会の中で人々と関わり続けたアドラーの姿勢に強く惹かれます。
アドラー心理学を活かした研修は、短期間で劇的な変化をもたらすものではありませんが、日々の実践を重ねることで、少しずつ組織に馴染み、前向きな変化を生み出していきます。

アドラー没後100年以上経った今でも、その英知は時代を超えて生き続けています。現代の社会や組織においても、多くの人にとって有益な考え方となることでしょう。
アドラー心理学は、キャリアコンサルティングの諸理論とも親和性が高く、対人支援に役立つ理論や技法が豊富です。また組織の成長や活性化を促す手法としても有効です。

私にとってはこの学びを継続することが自身の内面を整え、ブレない軸を持つことにもつながっていて、やはり自分が「寄って立つもの」を持つことの大切さを感じています。日々、キャリアコンサルタントの仲間たちにアドラー心理学をお伝えし、対話と共に学ぶ時間が自己成長につながっていると実感しています。
興味を持たれたは、ぜひ実践的な研修プログラムに触れ、学びを深めてみてはいかがでしょうか。


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